第2話 DAY2 二人の始まり
今日は4月23日。
・・・さて。時間は、ない。構成を考えないと。
1日1本ノルマとして・・・計3話+αってところになりそうだ。
・・・正直、昔の記憶過ぎてところどころ違うところがあるかもしれないし、思い出なんてその人の主観によって形を変える(美化とかね)ことも常なので、もしかしたらトモの記憶と違うことがあるかもしれない。
それは勘弁してほしい。OK?
それじゃあ・・・始まりを。
僕は中2の時に広島へ転校してきた。祖父母の家は広島にあるので、全く知らない土地というわけじゃなかったけど、広島で住むことになる家は、建てて半年で父が東京に転勤になったため、長いこと賃貸にしており、痛みもひどくてリフォームをしなければならなかった。場所も祖父母の家からはずいぶん離れている場所で馴染みがなく、元の場所に帰りたくて仕方なかった。
前の中学校では水泳部に入っていて、新しい学校でも水泳部があるということで入部したけど、天候手続きの時に「一応ありますけど」という先生の言葉の意味が、入ってみて分かった。先輩はたった一人。しかも水泳部なのに「スクール水着」着用。
同級生は5~6人いるみたいだけど、なんだか入ってるんだかどうかわからない出席率の低さ。先生に頼んで、前の学校のように5月の連休くらいにプール掃除させてもらって練習を始めたけど、毎日泳ぐのは5名いれば多い方だった。
トモもそのうちの一人で、あまり印象に残っていないのが、正直なところだ。
なんせその年、大会に出場したのは先輩と僕だけだったのだから。
プールのシーズンが終われば、水泳部は陸上トレーニングに移行する。僕はスイミングの選手コースにも通っていたので、毎日メニューを作って1時間ほど部活をしてからスイミングへ通っていた。その時には、少しずつだけど毎日練習する仲間が増えていた。
トモのことが少しずつ気になりだしたのは、そんな時期。
最初は、冬休みのトレーニングでたまたま来た時に2km離れた広域公園まで走ることになり、女の子二人でブーたれてる姿。いや、たまたま来てそれはきついと思う。
次はこれまた校内マラソンを広域公園で行ったとき(なんせ全校で30クラスあるから学校ではムリ)に、部活動ごとで並んだ時。あんまり話もしなかったけど、なぜか気になる、そんな感じだった。
転校してから1年。友達も増え、水泳部も友達が入部したりして結構な数になった。
トモも部活に来るようになったので、「副部長(兼女子部長)になってくれん?」と頼んだことは覚えている。予算委員会で水泳用のタイマーを購入する予算を勝ち取り、(この学校は生徒が話し合いで決めていた。)水泳部の体制も大分整ってきたころには、トモとも結構話すようになっていたと思う。帰り道も途中まで一緒だったので、何人かと話しながら帰る日が増えていた。
水泳部では、なぜか毎日の水質管理まで任されていたので、練習が終わった後は倉庫兼機械室で消毒用の塩素の粉を入れ、ポンプを操作するのが日課だった。(・・・これ、本来は年数回ある水質検査に合格しないと即使用禁止になるので、先生が責任もってしなければならない仕事なんだけど、マジ何で生徒にさせてたんだ、先生!)
その日もいつもと同じように塩素を入れたりしてたところに、トモが来た。
「何してるの~」
「消毒用の塩素入れてる」
「ふーん大変だね」
せまいところで二人きり。
「ところでさー」
「?」
「好きな人とか、付き合ってる人いるのー?」
・・・・・・・。
「目の前にいるケド。」
「・・・・え!?」
「メーワク?」
「メーワクじゃないけど、え?え?」
あ。言ってしまった。
なんでイキオイで言っちゃったかなあ?
正直、このあとどうなったか、あんまり覚えてない。
覚えてるのは「どんな顔して外に出よう・・・・」って考えてたこと。
ただ、周りが二人のことを知るのに、そんなに時間はかからなかったと思う。
最初のうちはからかわれていたけど、そのうち誰も言わなくなった。
なんなら職員室でも先生たちがみんな知っていたらしいってことは、卒業間際にわかったことだ。
これが始まりの日。
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