第16話 ショットガン・ゼロふたたび
俺は多くのチップをまとめて小さな巾着袋に入れて、ハイローラーエリアを歩く。
バニーガールが居たので、スパークリング・ウォーターを頼む。
すぐに持ってきてくれたので、1万パタカ渡した。
彼女は目を見開いていた。 まあそれもそうだろう。ドリンク一杯に二十万円も払う奴はそうそういないのだ。
大きなスロットマシンがある。
高さが2メートルくらいあり、表示も大きいし、バーも大きい。
「ああいうのは、負けても平然としてるところを見せるのが遊び方だ。」と誰かが昔言っていた。
そう。一回たとえば100万円とすれば一度はずれるだけで100万円をすってしまって平然とする、というのが見栄遊びの世界なのだ。
まあ俺はそういう目立ち方をするつもりはないので、パスだが。
ルーレットエリアにやってきた。
ルーレットは1テーブルだけオ-プンしていた。
50代くらいの、ちょっと小太りで頭のはげた男性がディーラー―だ。
ブタ張りおじさんと同世代かもしれない。
ただ、このディーラーはブタ張りおじさんと違って丁寧な所作で、上品だ。
実は、さっきのブタ張りおじさん、今度はこちらにやってきている。
並ぶと品のよさとなさが丸わかりだ。
ブラックジャックはダメだったので、ルーレットにしたのだろう。
俺も今回は最初から参加する。100万パタカを細かいチップに交換する。一枚1万パタカ。20万円のはした金だ。
とりあえず、ブタ張おじさんのベットを避けつつ、8のフラワーベットを作る。
フラワーベットというのは、その数を囲んで角と辺に賭けていくこと
だ。そうすると一度に9枚賭けることになる。
フラワーベットで9枚賭けるのと、9枚を1枚ずつ続き番号に賭けるのは、使う枚数は同じだが、リターンが違う。普通に賭けるとどこでも35倍になる。一方、フラワーべttの場合にはそれと、真ん中に当たればずっと大きい。
一枚ずつでもフラワーベットでも、使う枚数は9枚だ。 つまり、
1枚ずつ賭けた場合、当たったとしても実質的には35-8=27枚しか増えない。結局3倍戻しの賭けと同じになるのだ。
フラワーベットの場合はもうすこしリターンがでこぼこになる。まあ、少なくともあたれば複数枚あたることになるのでそのほうが嬉しいとも言えるかもしれない。
そして俺はフラワーベットとは別に1と27にも一枚ずつ賭ける。
ブタ張りおじさんも山を作る。
ディーラーが球を投げる。
ノーモアベット、の声がする。
結果は15だ。ブタ張りおじさん、少し当たったようだ。
俺はすべて負けた。
さあ次だ。俺はまた同じフラワーベットだが、1と27二二枚ずつ賭ける。
今度は16だ。ブタ張りおじさん、当たって気をよくしている。
俺はまた外した。
さあ次だ。俺はまた同じフラワーベット、ただし1と27に4枚ずつ賭けた。
ディーラーがちょっと眉をひそめた。
次は35だった。ブタ張りおじさん、またちょっとだけ当たる。俺は外した。
さあそろそろ頃合いだ。
俺は1と27に16枚ずつ賭けた。
ディーラーはそれを見ながら球を投げる。
ここだ!
俺はすかさず、00に950万パタカを賭けた。
インサイド(ルーレットで、数字に賭けるもの。赤黒とか奇数偶数などはアウトサイド)は合計で1000万パタカが上限だ。 俺は41枚賭けているので、残り分しか賭けられな^い。まあ端数は切ってこの数字だ。
だがそれでも十分だ。
俺のショットガンが炸裂した。
球はぐるぐる周り、最終的に00に落ちた。
「ゼロゼロ!:」ディーラーがかすれた声で言う
テーブルは一瞬静香になり、その後わっと沸いた。
ブタ張りおじさんは憮然とした顔をしている。まあ、彼の前で二度もショットガンを撃ったからな。
おじさんの闘争心にはきっと火がついただろうから、今夜1000万パタカくらいは負けるんじゃないかな。
ディーラーはベルを鳴らし、支配人を呼んだ。
支配人はこれを見て引きつったが、数字を計算してチップを持ってくる。
赤黒やほかの数字に賭けたものは全部負けだが、00は35倍の支払いだ。
950万掛ける35だ。33億2500万パタカの支払いになる。
まあ負けた分もあるが、結局手元には3億3000万パタカが増えた。66億円だ。
ショットガン・ゼロの面目躍如というところだ。
今回、俺がやったことは、ディーラーの挑発だ。
1と27というのは、00の両隣の数字なのだ。
これを賭け続けるということはディーラーに対して、「00を狙えるもんならやってみろ。一つ外せば俺が当たりだぞ」というメッセージなのだ。
もちろんリリボアほどのホテルでハイローラー相手にルーレットを回すディーラーなら、正直なところ数字を狙うのは可能だ。狙えばどの数字でも出せる。
だからこそ挑発した。俺は、このディーラーの腕を信じていたのだ。
だからこそ、彼が00を狙ったとき、彼が投げたあとに00にベットした。
結果はご覧のとおり。
俺は受け取ったチップをまた巾着に入れた。
俺は、ディーラーに10万パタカの心付けを渡し、部屋に引き上げることにした。さっきで13枚、今回33枚のゴールドブラックが増えた。一晩で46枚のゴールドブラック増えた。
一晩の稼ぎとしては十分だ。怒った俺としても溜飲が下がった。
===
再度、ショットガン・ゼロが炸裂しました。
レイさん、怒らすと容赦ないですね
一枚で当てれば35倍戻ってきますから、賭けた分を足すと36倍ですね。
でも一枚ずつ9つに賭けたら、35枚戻り、1枚はそのまま、でも8枚没収です。増えるのは27枚ですね。
レイやおじさんはインサイドにばかり賭けています。
以前、ヴェルはマドモアゼル・ルージュの意地でアウトサイドの赤黒に賭けました。同じ枚数が戻ります。 それでも2億円賭けて4億円戻ったことになります。
賭けのスタイルはさまざま。ギャンブルは負けてナンボです。ブタ張りおじさん頑張れ!
「面白い」
「続きが気になる」
「マカオ行きたい」
「カジノ当てたい」
「金がない」
「反応ないと作者がかわいそうだから」
「愛田さん、抱いて!」(女性のみ。人妻、合法ロり可(笑))
など少しでも感じられたかたは、★、コメント、ハート、レビューなどください。
次回はいよいよリリボアを離れますが…
ディーラー「おい、こんなの計算がめんどくさいぞ。」
レイ「暗算できるか? 35x95だ。」
ディーラー「…」
通りがかりのインド人「だから99の段まで九九を暗記しとけよ!」
ディーラー「できるか!」
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