第4話 雨は、心に降るか

「私は…」

 少女は俺の問いに答えられないようだ。

 答えを持っていないのか。


 俺は、何をしているのだろう。

 昼下がりの雨の中。

 気付けばもう五月だ。正月もゴールデンウィークも、仕事をしていたな。

 帰る家も無い。

 ふと、過ぎる。

 風邪を引かないだろうか?

 まだ細い体、肌が薄く透ける程度に濡れている。

 今は春と夏の境だ。


 俺は、彼女が小さく震えたのを見た。

 だから

「俺の家に来るか?」

と、問うていた。

 質問の答えは今は特にいらない。

 

 独りだから、俺は。

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