収容所

次に目を開いた時、私たちは暗い空間の中にギチギチに詰められていた。人間を物のように扱う敵国の奴らは、まさにサイコパスとも思えた。



どこかに光は………



何とか体を動かそうとするが、腕も足もぴたりとも動かない。ほんのわずかに動くのは顔だけで、他に動かせるものは何もなかった。



でも、顔が動くなら充分。もしかしたら今の状況を変えられる何かを発見できるかもしれない!



顔をゆっくりと動かす。決して音を立てることのないように。まずはここがどこなのかを把握しようと外の光を、フィアナは探した。



しかしどこを探しても光なんて存在しなかった。フィアナは酷い絶望感を覚え、再び目を閉じようとした。その時である。



ガンッ!!!



「おいお前ら、起きろ。目的地についたぞ!」



薄い光すら存在しない暗闇の空間に、突然眩しいくらいの強い光が入ってきた。周囲が照らされて初めて気付いたが、どうやら私以外は誰も起きている人はいなかったらしい。


まあ全員同じ光に照らされて起こされたわかだから特に意味はない。眠い目をこすりながら、先頭に乗っていた知らない大人が外へゆっくりと歩き出した。



「アーロンさん、アーロンさん、」



小声で私の後ろに座っていたアーロンさんに話しかける。だが、アーロンさんは何かを悟っているのか、黙ったままだ。フィアナの不安は、この瞬間からどんどん膨らんでいった。



そうこうしている間に、前の人々が全員外へ出て、いよいよフィアナが外に出るよう指示された。フィアナは深呼吸をして恐怖心を落ち着け、ついにその光景を見る。自分たちがどんな場所に連れて来られたのかはこの時、一瞬で理解した。




「ほら、歩け。前。」



「ああ、はい。」



歩けと言われても、この中に自分から入っていくのは中々勇気が必要だ。できれば………いや、絶対に入りたくないこんな場所。なんなんだ、ここは。



目の前に広がっていたのは、大きな収容所。人間が生物として扱われていない、もはやただの物、道具であるかのように。



裸のボロボロの人間が、意味もわからず気が狂ったように穴を掘っていた。そしてその作業が、あの白い大地にある海のように、無限に続いていた。

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