世界が繋がる方法の一つ

「フィアナさん……でしたか?あの、何かしてくださるんでしょうか?」



「別に大したことは出来ませんが、とりあえず私を見ていてください。」



「ええ、わかりました………」



「お店は、ここですね。」



そこは、あまりにもイメージと一致しないよ見た目をしていて、お店なんてお世辞が言えない、そんな場所だった。


お店といえば、屋根があって壁があってつまり、建物と呼べるような見た目でその場所に存在するのがお店。もちろん、たくさんの形があっても悪くはない、壁がないとか屋根がないからお店を名乗ってはいけないなんてそんなことは絶対にない。


しかし、このお店は………



青い敷物の上に、古い布で織られた服が一つ一つ畳まれて置かれてる、ただこれだけだ。屋根がなければ壁もない。それとも、私のイメージのレベルが高いのだろうか?これが世界の常識なのだろうか?




「この服、誰が?」



「僕です。昔、友人に教えてもらったことがあって。」



「布はどこからですか?」



「町の中央部に大きな橋があって、その橋の下はポイ捨てが酷くて、ゴミ捨て場のような場所になってしまってるんです。そこから毎日色んなものを拾って、、その中のいくつかです。」



「……わかりました。一緒に頑張って売りましょう、まずは見ててください!」



「いいですけど、本当に何をやるつもりで?」



私は青い敷物の横に立って、人がお店の前にやってくれるのを黙りこくって待っていた。そうしていると、やがて1人の男性が私に話しかけてきた。



しかし、その人が言っている言葉は私たちの言葉とは全く違って何を言っているのかさっぱりわからなかった。これっぽっちもだ。でも、それでせっかくのチャンスを逃してはいけない、私は思い切ってあることをやってみた。



「この、布は…1500円、、ですっ」



「フィアナさん?何やって………」

「て、え!?」


私が何度も手を振ったり、指をさしたりなど色々な動作を繰り返してみると、なんと男の人が私の要求していることを理解して、服の値段ぴったりのお金を出してきたのだ。



今、言葉が通じなくとも会話ができるということが証明されたわけである。


 ◆

「知ってるかフィアナ、向こうの国ではな、言葉が通じないのさ。まあなんせサーンキヤ族の言葉は極めて理解の難しい言語らしいからね。それも仕方ないのかもしれない。」



「じゃあどうやって会話をするの?向こうの人とは。」



「俺の場合は、向こうの言葉をなんとか理解してみたかな。全ては不可能だけど、簡単なものは覚えれた。それか、向こうで我々の言葉がわかる人を探すか………これは現実的ではない。この2つとも、実行したりさせるにはものすごく難しいものなんだ。でも大丈夫、手っ取り早い方法が一つだけある。」



「なにそれ?」



「ジェスチャーだよ。こうやって、手とか足、さらには表情まで使ってとにかく伝えたいことを全力で表現するんだ。そうしていればいつか必ず言いたいことが、伝えたいことが相手にも伝わるはずだ。」



「うん、わかった!いつか使ってみるね!」



「ああ、その機会がもしきたら使ってみることだ。」

「……お父さんは世界がいつか必ず一つになって繋がれるって信じている。お父さんがその未来を切り開く立役者となる、主人公になる、そう本気で信じている。こんな無茶なことをまだ小さいフィアナに頼むのも鬼畜かもしれないが、フィアナもいつかこのことを真剣に考えて欲しいんだ。」

「世界が一つに繋がって、いつか我々のような国まで救ってくれれば良いのだ。そう思わないかな?まだ早いか。」


「早く父さんはフィアナに見せてやりたいんだよ、平和な世界の透明な美しさを。」

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