拾い子
誰だろう…それに言葉が違う。でも、今はそんなこと考えてる場合じゃない。
「とおちゃん起きて!」
「…なんだよ、ん?なっ、、!」
「あの、すいません…遭難していて、助けてくれませんか!」
私が言うと2人はお互いにじっと目を合わせて困った顔をした。
「とおちゃん、この人なんて言ってるの?」
「…まさか、そういうことか?」
「だからどういうこと?」
「遭難したんですね、わかりました。」
「はい、そうです…!」
私の言葉が通じた…!私はそう感じてほっと胸を撫で下ろした。このまま言葉が通じなかったら私はどうなっていただろうか…考えるだけで恐ろしい。
2人は優しく私を暖かい家へ招き入れてくれた。
「本当にありがとうございます。助かりました。」
「いえいえ。パアル、何かご用意して」
「わかった!」
水か氷のような色で塗られた動物の毛を2人は纏っていた。1人は男の大人で私より10、20?くらい年上の人。もう1人は私と同い年くらいに見える男の子だった。
家の奥でなにやら音がする。音のことを考えてれば何やらいい匂いもするような気がしてきた。何かを作ってるのかな…?
「あのもしかしてなんですけど、私のために何か振る舞おうとされていますか?大丈夫ですよ!申し訳ないです、」
「まあまあ遠慮なく。」
「…そうですか。」
奥からする音と匂いが気になってつい黙ってしまって会話が全く続かなかった。気まずさが漂い始めた中で私は会話をどうにか広げようと2人の名前を聞いてみた。
「そうだ、名前なんですけど…あ、私はフィアナと言います。お二人の名前を聞きたいんですけどいいですか?」
「あっちの子がパアル…で僕がウォーカーと言います。よろしくお願いします」
「よろしくお願いします。」
「ちなみになんですけど僕とパアルの関係は親子じゃないんですよ。拾い子なんです、あの子。」
「拾い、子?」
「あの子は父親がいない、それで僕が拾ってあげたということです。僕も昔は同じ境遇だったので自分1人の生活だけでも精一杯なくせについ拾ってしまいまして」
「え…ならば、なぜパアルさんをこの白い大地に?ここはとても危険な場所ですよ」
「…それはですね、、、」
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