第45話 『神子』

        【回想】


「はいヒメナ、これあげる」

「わーキレイ、ありがとレオ」


 幼い私とレオは、野原で年相応の遊びに興じていた。レオは、私の『おままごと』によく付き合ってくれる。ちょうど花の冠を作り、私の頭に載せてくれた。


「レオは将来、なりたいものとかあるの?」

「なりたいもの? 僕は『皇帝』になるさ」


 レオは一切迷わず、即答した。


「レオは『皇帝』になりたいの?」


「別になりたいわけじゃないけど、父様いわく僕は『他の生き方』が許されないんだって」


 これを聞いた私は、幼心ながら「不憫ふびんね」と思った。


「でもね、ヒメナ。僕は父様に約束させたんだ。せめて『結婚相手』くらいは、僕に選ばせてほしいって。だから、ヒメナ。僕が大きくなったら、ヒメナを『お嫁さん』にもらってあげるよ」


「ホント⁉ 嬉しい! 『約束』だよ、レオ」


 幼い私たちは、固く『指切り』をした。


 ………………


 …………


 ……



 けど、現実は甘くなかった。


 私たちが成長するにつれ、身分差は顕在化していき私たちは、徐々に『擦れ違って』いった。それが決定的となったのが、あの『婚約破棄』だった。



 そんなレオが、私に初めて『本心』を打ち明けてくれた。己の『全て』をし、私を『護る』為に光の中に消えた。



 私は…………イヤだ!


 こんな『結末』認めない!


 仮に『運命』が、私たちを引き裂こうとしても……私は『従わない』!



――カァアアアアアアアアアアアアッッ‼


「な……なんだぁああっっ⁉⁉」

「これは……⁉」

「ヒメナ……!」


 イーグルらが、一斉に『私』に注目した。


『私』の全身から目映い光が放出して、手をかざしただけでレオの張った『結界』は消えた。


 呆然とする三人。『私』は浮遊し、レオの元へと急ぐ。無事だといいんだけど……!


『神子』と呼ばれてた『私』の力。本当は頼りたくなかったけど、『私』はこの力で最愛の彼を救いたい!


 今までは『人の為』に使ってたけど、今こそ自分の為に使おう。もう二度と『力』を使えなくなってもいい!


『神の雷』とやらは、レオの『宝具』で消滅した。けど、このままじゃ都が『汚染』されちゃう! 『私』は両手を天に掲げた。


 空から光が射し込み、都全体を覆った。神子による『浄化』……かつてゲイルの村を救った力の『強化』版だ。


『私』はレオを抱えた。仮面が外れ『素顔』の彼は、ひどくやつれて見えた。


 今まで、自分すら『偽り続けて』きたんだね……もう彼を『解放』してあげよう。


『私』が意識を強めると彼の全身が瞬き、瞬く間に傷が癒えていく。『私たち』は、ゆっくりと着地した。



「お前ら、無事なのかっ⁉」


 イーグルらが心配して、たちに駆け寄った。もう私の体は、光を放ってない。『力』を失った証拠だ。


「うん。私もレオも無事だよ」


『終わったんだ』……今度こそ。


「びっくりしたぜ。アレもヒメナの『力』か。俺たち、何度も救われたもんなぁ」


「ヒメナ殿の諦めない姿勢が、奇跡を呼び起こしたのだ」


 そこまで言われると照れるね(*ノω・*)テヘ そんな中、イーグルは繁々とレオを見つめていた。


「イーグル……?」

「いや、俺の完敗まけだ」


 え? それってどういう……


「あんなの見せられちゃ敵わねーよ。頑張れレオ、お前がナンバーワンだ」


 そう言ってイーグルは、背を向けてしまった。これって、彼なりの『エール』なのかな?(^。^;)


「ん……」

「レオっ⁉」


 レオがゆっくりと目を開けた。


「レオ、私よ! 『幼馴染み』のヒメナよ!」

「ヒメナ……?」


 レオは、しっかりと私の手を取った。後遺症はないみたい。本当によかったよぉ(;つД`)


「フン。お前は56しても、4ぬタマじゃねーからな。ヒメナを泣かせるのは、今回限りにしろよ?」


 レオは『不思議そうな顔』で、イーグルを見た。


「……? すまん、君は……誰だ・・?」


 私たちは思わず、顔を見合わせた。見た感じ、冗談を言ってるようにも見えない。


「おいおい……オレが認めた途端、コレか? 『終生のライバル』を忘れるとは」


「……君たちだけじゃない。ココは何処だ? そもそも『私は誰・・・』なんだ……?」



 え……………………?



 ◆ ◆ ◆


 NEXT……エピローグ。

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