第41話 『切り札』

『――ヌフッ☆』


 噴煙が立ち昇る中、皇帝がおぞましい姿を見せた。イーグルが驚愕きょうがくする。


「バカな、オレの『宝具とっておき』だぞっ⁉ レオに温存したかったのに……!」


「オーッホッホッホッホッホッホッホッ☆」


 またも天をつんざくバカ笑い。いつの間にかロセナラが、私たちを俯瞰ふかんしていた。


「イーグル! そんな『大道芸』で、私の『切り札』を破れると思って⁉ これはヒメナ・アンジェロ用の『とっておき』でしてよ!」


 私への『切り札』……?


「どういう意味よ……⁉」

「伊達じゃありませんでしてよ」


 ロセナラは、珍しく(?)『真剣』な口調だ。


「ヒメナ・アンジェロ……貴女は私の『人生最大』の障害。貴女さえいなければ、私はすんなりとレオ様と『婚約』できたものを!」


「タダの『逆恨み』だろ? 一言で済む話を長引かせるなよ、無能」


「故に!」


 イーグルをガン無視して、ロセナラは針小棒大しんしょうぼうだいに続けた。


「私の人生を台無しにした貴女を、私は全力をもって『潰す』ことにしましたわ!」


 一方的な『宣言』……いつものおふざけ(?)と違って、目が真剣ガチだった。てか、普段から『本気』出しなよ(-_-;)


「んなこたぁどーでもいいっ! 何故お前ごときが、我の『宝具』を防げた⁉」

「防ぐ? あなた見た目によらず、頭が固いですわね?」


 確かに、見た感じだと効いている。燃焼中など、お構いなしに『再生』を続けている。


「オーッホッホッホッ☆ 『切り札』は、最後までとっておくものですわ! 皇帝ジジィと私は『禁断の契約』によって、魔術回路が繋がりましてよ⁉ これすなわち! 『どちらかが生き残ってる』限り、永久機関的に『再生』を繰り返しますわ!」


 ロセナラが過去一、爆竹の勢いでドヤった。


「ハッ! 訊いてもねーのに、色々とバラすのが『三流の脚本』だな!」

「では、見せてもらいましょうか⁉ 『一流の台本』とやらを!」


 ゲイルに突っ込まれても、ロセナラは全く動じない。ホントに『切り札』に、全てを賭けてるみたい。


「ハッ! それなら『同時撃破』するまで……」


 言い掛けて、イーグルはカクンと膝をついた。


「おいおい、大丈夫かいな? 『考えなし』で、大技ブッパしてガス欠か? まだまだ『若い』な」


 ゲイルも十分、若いでしょ(-_-;) とはいえ、どうしたもんだか……『魔力回路』が繋がってるってことは、ロセナラも『皇帝』同様、不死身に近い。


 流石は『切り札』ってことはあるね……こうなったら、私も『一か八か』賭けに出るしかないよ( ・`д・´)

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