第40話 『汚物は消毒だぁ!』

「なんだ……? ヒメナの知り合いか?」


 私はイーグルに、ゲイルとガイオスさんを紹介した。


「へぇ? あの『盾の英雄』と知り合いだったとはな。そこの田舎臭い赤毛はともかく」


「言ってくれんじゃねーの。見たところボンボンみてぇだが、威勢がイイ割にはさっき逃げ回ってたよな?w 」


「アン? ありゃヒメナを守る為だ。見りゃ分かんだろ?」


 ちょっとちょっと! なんで会って早々、ケンカになるの?


「その辺にして、まずは目先に集中せよ」


「けどよぉっちゃん。この褐色のあんちゃん……あ痛ぇ!?」


 ゲイルは、「誰が父っちゃんだ」とガイオスさんに小突かれた。そういえば昔、お世話になったんだっけ?


「助かったよ。でも二人ともなんでここに?」


「メリダの町にて、レオ殿が『一斉蜂起ほうき』したと伝え聞いた。まさかとは思ったが、駆けつけたらこの有り様だ」


「俺も似たよーなもんだ。途中で『おやっさん』と合流してな? 皇子様は、随分と過激派じゃねーの」


「成る程……民衆はなるべく味方につけたい。革命クーデター反乱テロは、紙一重だもんな」


 うんうん、と納得するイーグル。そんな彼をゲイルは、繁々と見つめた。


「つーかお前、俺と『キャラ』被ってね?」


「なんの話だ? 腕にそこそこ覚えがあるみたいだが、スピードには俺も自信があるぞ」


 二人ともさぁ……仲がいいのか悪いのか?( ̄ヘ ̄)


「まー『お坊ちゃん』に、世界の広さは分からねーだろ。上には上が居るのを教えてやんよ」


 ゲイルは、静かに二刀を構えた。瞬間、皇帝の骨の一部が斬り落とされた!


「何っ? 今の動きは……⁉」


「どーだ、視えたかよ? 俺の『かなり速い動き』とやらが」


 目を見張るイーグルに、ゲイルは唇の端を吊り上げた。


「フム? ゲイルめ、また腕を上げおったか。私も若い者には負けてられん」


 たじろぐ『皇帝』にガイオスさんは、「来ないならこちらからゆくぞ」と『構え』を解いた。一瞬で間合いを詰める!


「帝都流槍棍そうこん術、百花繚乱ひゃっかりょうらんっ!」


 目にも止まらぬ突きが、繰り出された! 『骨』は収束し、ガイオスさんを貫こうとするも……


 カキーン!


 また『パリィ』……そして、無防備になった本体に突き刺さる『致命の一撃』っ! これには『皇帝』も堪らず、のけ反った。


「これが『盾の英雄』……矛と棍と盾、三位一体さんみいったいの隙が生じぬ戦法か。レオと幾多の戦場を駆け巡り、生還しただけはあるな」


 イーグルは、珍しく(?)ベタ褒めした。そして、自身も斧槍ハルバードを引っげた。


「やれやれ……これじゃオレだけ『外野』じゃねーか。お前ら退け。巻き込まれたら、火傷じゃ済まねーぞ?」


 イーグルの斧槍が、深紅に発光した! こっちまで、熱気が伝わってくるよ(O.O;)


『大技』が来ると察した二人が、後退する。これを見たイーグルは、高く跳躍した!


「避ける必要はねーぞ? 何処へ逃げても同じだからな! 焼き尽くせ……神怒炎滅メギドフレイムっ!」


 イーグルから放たれた斧槍は、一直線に延び『皇帝』の腹を貫通した! 雷の速度すら上回る投擲とうてきで、さらに対象を骨も残らず焼き尽くした!


「あっぶねぇ……! 確かにありゃタダじゃ済まんぞ」


「必ず命中し、絶命するまで消えぬ炎か。一度ひとたび放たば、防御も回避も『不可能』な究極の一撃だ」


 イーグル、とんでもない『宝具』を持ってるね。ありゃ『対軍』を想定してるよ(・・;)


 スピードのゲイル、守りのガイオスさん、火力のイーグル。三人とも強すぎて、私の出番なくない……?!(・◇・;)


 イーグルは、戻ってきた斧槍を掴んだ。


「汚物、消毒完了……ってな」

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