第36話 『いざ帝都へ!』 /ヒメナ

「――ウソだっ」


 血を吐く思いで叫ぶ私。


「……残念ながら『事実』だ。帝都の連中は、我が領土の『石油』に目をつけたんだろう。レオも『男』である以上、欲には勝てんさ」


 私はイーグルの言い分など、ほとんど聞いてなかった。あのレオ様に限って、そんなことあり得ない……!


 すぐそこまで来ているのなら、直接会って確かめたい! 私はレオの元に走ろうとするも……


 ガシッ! イーグルが私の手を掴んだ。


「離してっ、レオに会って……」

「会ってどーするっ!?」


 ハァ? どうするも何も決まってるじゃん! レオ様の『真意』を……!


「ヒメナっ、冷静になれ! お前は『二度も』裏切られてんだぞっ!?」


「だから何っ!? イーグルには関係ないじゃん! 離さないなら……」


 また『強化』を使って、振り切るしかない。私がそう思った瞬間……


――ドォオォオオンッッ


 遠くから『地鳴り』がした。足元から突き上げてくる感覚。なに今の……?


「お頭、度々すまない!」

「許す。何か『動き』があったか?」


 またあのローブの人が、どこからともなく現れた。イーグルに素早く耳打ちすると、明らかにイーグルも驚いた。


「……何っ、間違いないのか? レオの奴、何を考えて……」


 身内で話を進めるイーグル。散々、私を追い回してけ者にするってどうなの (-_-#)


「お頭、如何いかがする?」


「……レオに限って『騙し討ち』はないと思うが、引き続き警戒してくれ」


 ローブの人は、「御意」とかき消えた。


「ちょっとイーグル、さっきから何が起こってるの!? レオ様が攻めてきたとか、意味分かんんないし!」


「……帝都軍は、引きげたそうだ」


 引き……揚げた? ますます意味が解らない。結局、何しに来たの……?


「私……やっぱりレオ様に会いにいく。『あの時』だって、ロセナラから私を庇ってくれたんだ。引き揚げたなら、私が帝都にいく!」


 私の『決意』にイーグルは気圧された。


「……どうしても行くのか?」

「当然だよっ、邪魔するのなら……」


 私の勢いにイーグルは、「分かった」とあっさり首肯しゅこうした。


「ただし、オレもヒメナに同行する」

「ハァ? なんでそうなるの?」


「なんでも何もレオとは、決着をつけなきゃな。それで我が『納得』すれば、潔くヒメナは『諦める』ぜ」


 何なのソレ……? ホント男のコって、よく分からない部分で『意地』を張るよね(´・ω・`)


「それに女の足で、この『砂漠地帯』を抜けるつもりか? 我の『軍神の戦車オーディン』なら一飛びだ」


 イーグルが口笛を吹くと、天馬にかれた黄金の馬車が舞い降りた。こんなのどこで入手したんだろ? って突っ込みはさておき。


「しっかり掴まってろよ? コイツなら、すぐレオに追い付けるぜ!」


 イーグルが手綱を握ると、戦車は空高く舞った! あっという間に宮殿が小さくなっていく。レオ……今いくからね!

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