第30話 『誘い』/ヒメナ

 遅れがち & 短い & ストレス展開が続いて、申し訳ありません(*_ _)


 ◆ ◆ ◆


 レオが私の元を去ってから……


 私はトボトボ、一軒家へと歩いていた。これからどうしよう……まずは『家』に帰って、ゆっくり考えよう。


 けれども……


 現実は私の想像の『斜め上』をいってた。


「なっ…………」


 家に戻った私は絶句した。


 目の前には焼け落ちて、白煙を上げている私とレオの家だった・・・。『目を疑う』とは、まさにこのことだ。


 私と彼の『生活』の場が……


 それ以上に『思い出』の場だった。それが、無残にも崩れ落ちてるなんて……


 どうして私たちが、こんな仕打ちを……? 私たちが、そこまでの事をしただろうか?


「ヒメナ」

「誰……!?」


 不意に呼ばれ、私は反射的に振り向いた。


「なんだイーグルか」

「おいおい、随分なご挨拶あいさつだな」


 イーグルは若干ムッとするが、今の私にはどうでもよかった。


「今、誰かと話したい気分じゃないの」

「レオの件は残念だったな」


 私はハッとなり、イーグルの顔を見た。


「なんでそれを……!?」


「町で起きたことは、すぐにオレの耳に入る。奴としたことが、失態だったな」


 失態……それを聞いた瞬間、体内の血が沸騰ふっとうした。パチンっ! 気がつけば、私はイーグルを平手打ちしていた。


 追放された時だって、こんなに頭に血が昇ることはなかった。


「失態って何っ!? 彼を悪く言うのはやめて!」


「……言い方が悪かった。だが、事実だ」


 イーグルも一歩も引かない。


ヤツは『立場』をわきまえず、軽率に行動し過ぎた。ここシャルジャは唯一、帝都の『侵略』を受けてない。地の利もあり、防戦に徹すれば帝都にも引けを取らん」


「……何が言いたいの?」


 そんな話に興味ないけど、レオ絡みだとつい反応してしまう。


「そんな平和なシャルジャに『奴』は、争いの火種を持ち込もうとした。これは次期『頭領』として、看過できぬ件だった」


「………………」


 もっともらしい『理由』をつけるイーグル。


「そして、何より……」


 イーグルの口調が、真剣身を帯びた。


「そんなレオにヒメナを任せられねぇ」


「は…………?」


 さっきから何を言ってるの? イーグルが、私に手を伸ばした。


「ヒメナ……我と来い。お前の身は、我が一生保証してやる。もう『逃亡』生活をする必要もねぇ。お前には、我が『必要』なんだ」


「え…………?」


 私は耳を疑った。なんでそうなるんだろう? けど、今の私は『いく当て』がないのも事実だ。

 せっかく、レオと『やり直せる』と思ってたのに……。嗚呼、レオ……私をこの『檻』から助け出して。

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