第29話 現世は夢、夢こそ真

【注意!】しばらく『ストレス展開』が続きます(>_<")


 ◆ ◆ ◆


 私とレオ様が、シャルジャの町に来てから一週間が過ぎた。『いつも通り』の朝だと思ってた。『あの瞬間』までは……


 ◇ ◇ ◇


 その日、私とレオ様は一緒に買い出しに出掛けてた。レオ様はなるべく予定スケジュールを私に合わせてくれた。こんなに『一緒に』いられるなんて(^o^)


「すみませ~ん。いつものお野菜、お願いしまーす」


 ここは町の商店街。色んなものを適正リーズナブルな価格で売ってるから、いつもココを利用してるんだよね( ´∀`)


 ところが……


「悪いが、アンタらに売るものは何もねーな」


 え……? 私とレオ様は、顔を見合わせた。何かの『聞き間違え』だと思ったけど……


「あ……あのぅ。私たち、何かしましたっけ……??」


「ア"ーンッ!? 自分の胸に手ぇ当ててみろ。お前らは一生、出禁だ! おい、塩持って来い!」


 野菜屋のオジさんが、奥さんに促した。普段はとても『温厚』なのに、急にどうして……?


 オジさんだけじゃなく、町の人たちが一斉に私たちを指差した。


「よく面見せれたモンだな! さっさと『この国』から出ていけ!」

「お前らの都合で、この国を『戦争』に巻き込むな!」


 ちょっとちょっと……!? みんなどうしちゃったの!? 『戦争』になるって……!?


「ヒメナ、アレを見ろ……!」


 レオ様が指差したほうを見て、私は愕然がくぜんとなった。あちこちの壁に『ポスター』が貼られていて、私たちの顔と『素性』が事細かに書かれていた。


「なんなのアレは……!?」


「オーッホッホッホッ☆ 善きに計らえ皆の衆っ!」


 さらに商店街の中央で、ビラをバラ撒いてる見知った顔。


「ロセナラっ!? アンタ、何して……!?」


「ヒメナ・アンジェロ! 貴女の『悪巧わるだくみ』もここまでですわ!」


 悪巧みって、何を言って……!?


「アンタ、また『妙な力』で……」


「何を言ってるのかしら? 彼らは、自発的・・・に私に協力しましてよ?」


 自発的って……


「私、前回の失敗で『学習』しましてよ? 『魅力』は効率が悪いので、こうしたほうが手っ取り早いですわ」


 それにしても、ロセナラ『一人』でここまで出来ない。バックに『協力者』がいるハズ (゚Д゚)!!


「いくらなんでもやり過ぎでしょ……!?」


「んなこたぁどーでもいいわ! さっさと出ていけ!」


 オジさんを筆頭に町の人たちは、今にも投石しそうな雰囲気だ。スッとレオ様が、私の前に立つ。


「ロセナラ。貴女の『目的』はなんだ?」


「レオ様を皇宮に連れ戻すことですわ。前にも言いましてよ?」


 ドヤ顔のロセナラにレオ様は、しばし俯き……


「…………いいだろう。ただし、ヒメナには一切手を出すな。たがえたら……」


「ええ、もちろんですわ。レオ様さえ取り戻せば、そこな『野良猫』には興味ありませんので」


 レオ様は私に背を向けたまま、ゆっくりと歩む。あっ…………


「レオ様、待っ……」


「ヒメナ…………すまない」


『あの時』と同じだ。レオ様が、私に振り返ることはなかった。ロセナラはレオ様の手を取り、これ以上ない『悪役』の笑みを浮かべながらのたまった。


「ヒメナ・アンジェロ。いつからレオ様に、見初みそめられたと『錯覚』していたのかしら? 貴女みたいなのを、蒼蠅驥尾そうようきびと言いましてよ? 分かりやすく言い換えれば、金魚のフンですわね(爆笑)今後は努々ゆめゆめ、勘違いなさらぬように。オーッホッホッホッ☆」



 これは『悪夢ユメ』だ……


 レオ様との『甘い日々』が、幻だったなんて思いたくない……


 お願いレオ、私を置いていかないで……



 けれども…………


 私の手が、レオに届くことはなかった……


 


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