第28話 『平穏』

 シャルジャ宮殿を後にして――


 私とレオ様は購入した『一軒家』で、新生活がスタートした。流石に『一等地』だけあって、見晴らしのいい高台に構えている。


 私が朝起きると、レオ様は朝食を作り終えていた。レオ様ばかりに頼るのも悪いから、私は掃除と洗濯を担当した。

 なんだか『新婚生活』みたいだよぉ(´ з`*)♪(´ε`*)


 休日……私たちは家事を早めに終わらせ、午後からのんびりと公園を散策してた。

 昨日と比べて、風が心地好い。絶好の散歩日和だね。私たちは、木陰で一休みすることにした。


「わぁ……! すっごくいい眺め!」

「そうだな。ヒメナと来れてよかった」


 レオ様も頷いた。今まで色々あったけど、こんな『穏やかな日』が来るなんて。


「ヒメナ……? どうかしたかい?」


「あっ……いえ。なんだか『夢』を見ている気分で……」


 レオ様は私を見つめ、優しく抱き寄せた。あっ…………


「夢ではない。これは『現実』だ。むしろ、今までが我々にとって『夢』だったのだ。これからは『私たち』で、未来を紡ごうぞ」


「レオ様……はい」


 私はレオ様の胸に顔をうずめ、ほんの一時ひととき甘えることにした。婚約破棄も追放も剥奪も、全て『過去』のこと。


 今は隣にレオ様がいる……この『平和』な日々が、一日でも長く続いてほしいと願うばかりだ(‐人‐)


 ◆ ◆ ◆


「――ヒック! マスター、もう一杯」

「その辺にしときな、坊っちゃん」


 ギルド兼酒場にて――


 レオにけたイーグルは、昼間からヤケ酒して受付兼マスターに呆れられていた。


「畜生……! レオの奴、オレを見下しやがって!」

「荒れてますわね? お隣よろしいかしら?」


 声を掛けられ、イーグルは「アン……?」と顔を上げた。


「お前は……」

「お久し振りですわね、イーグル」


 それはやっとの思いで、町にたどり着いたロセナラだった。『同級生』の二人が直接会うのは、実に卒業式以来だ。


「何故、お前がココに……?」


「その様子ですと、色々と込み入ってるようですわね? 再会を祝して、情報交換といきましょう」


 イーグルとロセナラは、現在の状況を語り合った。空腹が『限界突破』していたロセナラは、あれやこれや注文した。


「お前がレオの『お目付け役』ねぇ……」


「あなたは、ヒメナ・アンジェロが目当てなんでしょ? なら、私と『利害が一致』しますわね。『二番手の意地』を見せてあげましょう」


 イーグルは繁々しげしげとロセナラの顔を見つめ、やがて席を立った。ロセナラも後に続く。


「待てコラ。何どさくさに紛れて、我に支払いを持たせようとしてんだ?」


「え"……? ちょっと今、手持ちが……」


 ロセナラは町に着くまで、路銀は全て使い果たしていた。


「知るか。カネがなきゃ働けばいーだろ」


「なっ……元公爵令嬢が、なんという屈辱……!」


 結局ロセナラは丸一日、ギルドに扱き使われた。今は絶賛『6職』だから(爆)


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