第5話

「なんだかすごいことになっちゃったね……」

「うん。でも、ちゃんと解決できてよかったペコ!」


事件を乗り越えた私たちは、再び旅の途につこうとしていた。

ここでお別れだと思うと、やっぱり名残惜しい。


「フェリシア、アンタの旅、頑張るペコ。

きっと素敵な思い出いっぱいできるはずペコ」


「ええ、ありがとう。クロエールも、歌う夢諦めないでね」


固い約束を交わして、私たちは手を振り合う。

いつかまた、歌声を聴きに来れたらいいな。

そんな思いを胸に、私とポックは旅立ったのだった。


「それじゃ、行こっか」

「うん!フェリシア、次はどこ目指すの?」

「そうだなぁ、とりあえず……」


地図を広げて見ていると、ふと違和感を覚えた。

今まで白紙だった地図の一角に、新たな文字の羅列が浮かび上がっている。


「ねぇポック、ここに書いてあるのって……」

「『失われし王国』……?なんだろう、この地名」


聞き慣れない言葉の響きに、妙な既視感がある。

まるで昔の記憶の欠片みたいに、かすかに心を揺さぶられる。


「ミステリアスだね。でも、ここに行けば何か手がかりが見つかるかも」

「だね……きっと、私の失われた記憶ともつながってるはず」


そう直感していた。

まるで運命に導かれるように、その土地へ向かわずにはいられない。


「よーし、それじゃあ『失われし王国』を目指して出発だ!」

「うん、一緒に謎を解き明かそう!」


地図片手に、勇ましく拳を突き上げる。

澄み渡る青空の下、新たな冒険の予感に胸を躍らせながら。

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