6.3人家族

 父と母が離婚して、私と姉は父に引き取られ、離婚したことを周りに知られたくないという理由で会社を辞め離島に引っ越した。

私は4年生になっていた。

 「これからは3人でがんばっていこうな。」

 父は口癖のようにそう言っていた。

 新しい家は小さな団地だった。父は役所の職員として働いていた。家事は姉がほぼ全てを担っていて、父が公務員だからといってたった1人の収入で年頃の娘2人を育てられるかと言われれば、そんな事はなかった。

友人と遊ぶ時間もなく家事に追われていた姉に異常なほどのストレスが溜まっていたのは、言うまでもない。

姉のストレス発散に私が使われるのは、ごく当たり前のように感じた。

 そんな生活が1年ほど続いて、私が1人で留守番をしている時だった。

ピンポーン、インターホンが鳴った。

 「はい…」

 出てはいけない、父にそう教えられていたのにほぼ無意識にドアを開けてしまった。

 「あんたっ…こんなに痩せて!」

 一瞬、そう言って私を抱きしめた人物が誰かわからなかった。

 「舜はどこにいる?」

 父の居場所を尋ねる男性は−祖父だろう。ならば隣にいる私を抱きしめた女性は祖母なのか。

 「お父さんはもうすぐ帰ってくるよ」

 「楓は?」

 姉まで探す祖父母のしたい事がよく分からなかった。

 「何しに来たの?」

 そう聞く私に困った顔を向けて、

 「ねえ、中に入ってもいい?」

 そう言う祖母たちを家の中に入れる。

 「お父さんとお姉ちゃんと暮らすのはたのしいか?」

 祖父−おじいちゃんの質問に、素直に答えられなかった。

 その時、玄関のドアが開く音がして、父が帰ってきた。私と祖父母が一緒にいるのを見た父は声を荒らげた。

 「何しに来た!!!もう貸す金はないって言ってるだろう!!!」

 タイミングが良いのか悪いのか、姉も部活から帰ってきた。状況が何ひとつ分かっていない姉は棒立ちするしかなかった。

 「とりあえず2人ともこっちに座りなさい。」

 祖父の声に動かされて、小さな丸いテーブルを囲んで座った。



 

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幼馴染の攻略法 紫雨 @sri_00

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