4.お手紙

 転校してから数週間。新しいクラスのみんなは私を歓迎してくれて、特に問題の無い生活を送っていた。

 「ただいま!」

 学校が終わってから、一直線に家に帰るとお母さんが私を呼んでいた。 

 「前の小学校から手紙が届いてるよ」

 「え!!」

 うれしくて、びっくりして。

 その手紙はクラス全員からで、手紙を1枚ずつ綴り、青いリボンでとめられたものだった。

 「懐かし…」

 手紙には、心配や励ましのメッセージ、思い出などが沢山書かれていて、まだ転校から一ヶ月も経っていないというのに涙が出そうなくらいだった。

その中で1枚、はみ出ている紙があった。その手紙が誰のものか気になった私は他の手紙を飛ばして読んでみることにした。

 「っ…」

 同じクラスなんかじゃなかったのに。なんで?伊織の手紙があるの…?

  『なな

   元気ですか?おれは元気です。なながいない学校はすこしつまらないけど、

   また会えると思うので、がんばります。ななも、がんばってね。』

 シンプルな、他の子達と似たような内容だったけど、私にとっては1番大切な手紙のように思えた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る