第9話 登校初日の朝
翌朝。私はアラームの音と共に目を覚ました。スマホに手を伸ばし、アラームを止めると、時間はちょうど7時になっていた。
正直、かなり眠い。
あの後、家に帰ってから作文を終わらせるまで朝の4時くらいまでかかってしまった。
実質、3時間しか寝ていない。
私は、ベッドから気怠げな体を起こすと、キッチンへと向かった。そして、私は軽く食パン1枚を食べた後、洗面台で顔を洗ったり、歯を磨いたりしてから家を出た。
通学路に出ると、なぜか周りにいる浮遊霊たちが私を避けているような感じがする。たぶんそれは昨日もらった御守りのおかげだろう。どうやら効果は相当高いようである。
しばらく歩くと、学校の校門にたどり着いた。複数の男女の生徒が桜の木下を通り、通学してきている姿が目に入った。
私は他の生徒に混じって校舎に入り、靴箱で上履きに履き替えると、自分の教室まで向かった。
教室に入ると、もうすでに何人かの生徒は登校してきてるようで、ガヤガヤと話に花を咲かせていた。
私は自分の席に向かおうとした。すると、ちょうど私の前の席で、金髪の少女が突っ伏して寝てるのが、目に入った。
天上さんだよね?
確か、このクラスに長い金髪の子って天上さんしかいないはず。
そういえば、昨日のお礼を言わないと、、、
「あのー、天上さん。起きてる?」
「ん。どうかしたのか?」
すると、彼女は上半身を起こし、私に顔を向けてきた。
「昨日は、助けてもらって、本当にありがとう」
私は、感謝を込めて彼女にお礼を言う。
「いいよ、別に。
気にするな。
それよりお前、顔色悪そうだけど、大丈夫か?」
すると、少女はなんてことないと言った後、私を心配した。
「色々とあってね、
昨日、少ししか寝れてないんだ」
私は、彼女へそう答える。
「もしかして、深夜アニメでも観てたのか?」
すると、天上さんは、今度は私にそう訊ねてくる。
それはないかな。私は、アニメとか漫画には全然詳しくない。小さい頃に子供向けアニメを見たり、少女漫画を読んでいたくらいかな。
「それは、ないよ〜。
実は昨日、学校に作文を忘れて、取りに行ってから、家で書いてたら朝の4時くらいになってたかな」
「学校まで、わざわざ夜中に忘れ物を取りに行ったのかー?
真面目なやつだな〜。
ところで、作文なんて宿題で出てたのか?」
天上さんは、少し驚いたような口調で、そう呟いた後、宿題について訊ねてくる。
「昨日、宿題で出されたんだよ」
彼女は昨日、自己紹介の後すぐに帰ってしまったから知らなかったのだろう。
すると、彼女の口からは少し驚くような言葉が出た。
「ま、どっちにしろ俺はやらないけどな」
「はは、、、」
私は苦笑いを浮かべた。
「流石に、やらないのはまずいんじゃないのかなあ?」
そんなこんなで、天上さんと会話をしていると、教室に先生が入って来た。
「コケコッコーーっ。
えー。じゃあ、朝のホームルームを始めるでコケッ」
そして、先生の鳴き声と共に朝のホームルームが始まった。
「エー。今日の日直は、愛沢でコケな。
愛沢?いるでコケかーッ?」
先生は、最初に今日の日直である愛沢さんを呼んだが、返事がなかった。
「今日は愛沢は来ていないようで、コケね。エー、次は出席番号2番の朝倉。
頼めるか?」
どうやら、愛沢さんは学校を休んでいるようであった。
朝倉という生徒は先生に呼ばれて立ち上がると、教室の前方へ移動していった。
そのまま、ホームルームが進行していき、終わりがけに近づいた時だ。
「エーコッコ。天上は昨日のことで話がある。この後、すぐに職員室まで来るでコケ」
どうやら、天上さんは昨日のことで、先生から呼び出されることになってしまったようだ。
きっと、自己紹介で先生を蹴り飛ばしてしまった件だろう、、、
そして、ホームルームが終了すると、次の体育に向けて着替えをするために男子は移動していき、女子は教室に残り着替えの準備を始めた。
正直、眠いし昨日の疲れも残ってるから、1限から体育はきついなあ、、、
私は、保健室で休みたかったが、今日は初回の授業なので出席することにした。
男子が、教室から完全に出て行くと、私は制服を脱いで、体操服に着替え始めた。
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