第5話 自己紹介
私は校舎に入ると、これから1年間使用するであろう教室に向かった。
教室の前まで来ると、扉横の壁には座席を指定した紙が張られていた。
私は、紙を見て自分の座席の位置を確認する。
どうやら、私の席は、窓際の後ろから2番目のようである。
そして、私は教室に入り、席についてからしばらくすると、担任の先生が教室に入ってきた。
「コケコッコーーーッッ‼︎」
入ってくるなり、いきなり鶏のように鳴いた?
私は、先生の顔を見ると、目を疑った。
なんと先生の顔は鶏そのものだったのだ。そして、クラス中が騒然となった。
「うっそー」
「鶏っ!?」
何か被り物でも、しているのだろうか?私の目には明らかに、被り物には見えなかった。
「静粛に」
先生はそう言って、ホワイトボードを3回くらい叩くと、教室は静かになった。
先生はチョークで黒板に大きく名前を書く。
「えーッコッ、コッ・・・
わちきの名前は鳥崎一志という
これから一年よろしくでコケーーッッ」
先生が名乗りをあげると、数名の生徒は笑っていたが、驚いたような顔をしていた生徒が大半であった。
えっ?何?
鳴いた?
「では自己紹介としよう」
先生がそう言うと、クラスメイトの自己紹介が始まった。
どうやら最初は愛沢美咲という、茶色の髪をツインテールにした女子生徒のようだ。
「はーい⭐︎
みんなちゅうもーく。
キラピカぴかりん
愛沢美咲でーす」
女子生徒は、腰に手を当てて、目の近くで横ピースをしながら名乗りを上げた。
何????
個性的な子なのかなあ?
確か、あの子って事件の間中ずっと寝てたよねえ。
「pチューブっていうので、動画配信やってるから、ぜひ見てね⭐︎
あと、あたしのことはミサってよんでね」
どうやら、彼女はpチューバーと呼ばれている動画配信者のようだ。私は、普段pチューブでお気に入りのバンドやピアノの演奏を聴くくらいで、pチューバーについてはあまり詳しくない。
そんな感じで一人目の自己紹介が終わった。
2人目は、黒髪の男子生徒が前に進み出た。
「俺は、
1年間よろしく頼む」
彼は、クールな感じでそう呟いた。
確か、彼は入学式の事件の時、ずっと腕や足を組んで堂々と座ってた人だ。
それから着々と自己紹介が進んでいった。
「天上、天上フォルテ、、、
天上はおらんかねえ」
とある生徒の番になって、先生が名前を呼んだが返事がなかった。
「なら仕方ない、、、
次、中野....」
先生が次の名前を呼ぼうとした時だった。
なんと、突然、窓の外から何者かが教室に飛び込んできたのだ。
いったい何事!?
それはギターを背負った、金髪の少女であった。
そして、彼女はそのまま先生を蹴り飛ばした。
「コケェーーーーーッ‼︎」
先生は、悲鳴を上げながら吹き飛び、扉をブチ破り、廊下へ消えていった。
それと、同時に彼女は綺麗な着地を決めた。
私は、あまりの衝撃に目が点になる。
えっ!?
私は、衝撃から醒めると、その少女が昨日出会って、先程入学式で助けてもらった金髪少女であることに気がついた。
幸い、彼女の登場の際、教室の窓は空いていたため、ガラスの破片が散って生徒たちに被害が出ることはなかった。
すると、金髪少女はギターを弾き始めたのだった。
「俺の名前は天上フォルテだぜoh, yeah...
天上天下、唯我独尊、、、
今日も俺は輝いてるぜ、、、
最強、無敵そんなもんは俺のためにある言葉さ、、、
今日も、明日も明後日も自由に生きていくぜ、、、
だって俺は天上フォルテ様だー」
彼女の、演奏が終わると教室中が静まり返っていた。
ギターはすごく上手いんだけど、なんか歌詞がアレだなー・・・
彼女は一風変わった自己紹介を終えると、窓から教室の外に出て行ってしまった。
えっ、せっかく教室まで来たのに出ていくの?
それに、彼女は天上フォルテさんっていう名前なんだー。
結局、お礼言えなかったなあ、、、
その後、先生は何事もなかったかのように教室まで戻ってきた。
そして、自己紹介が再開し、天上さんより後の出席番号の生徒たちが壇上に立ち、自己紹介をしていった。
「コッコッえー。
次は風来坊綾香さん、風来坊綾香さん」
ついに私の番が回ってきたので、私はかなり緊張した面持ちで席を立つ。
やっぱり、第一印象が大事だよね。
ここは、みんなからあまり変に思われないようにしなくちゃ。
そして、私は壇上に立ち、クラスメイトたちを見渡す。
「私の名前は風来綾香といいます。
得意なことはピアノを弾くことと料理です。
1年間よろしくです」
私は、クラスメイトたちにあたり障りのない普通の自己紹介をしておいた。
自分の自己紹介を終えた私は、壇上を降りて、席に着く。
最後から4番目くらいに差し掛かると、スクエア型のメガネに丸顔で全体的に覇気がなく、小柄で幼い感じで猫背気味の男子生徒が壇上に上がった。
「森本ぉ
その生徒はかなり聞き取りづらい声でボソッと名前だけ言うと、そそくさと自分の席に戻っていった。
と、そんな感じで自己紹介は進んでいった。
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