「春のスイーツ小説祭り」展示即売会会場

秋犬

ピックアップ2作品(+2)

 まず、「春のスイーツ小説祭り」に参加された皆様、ありがとうございました。おかげさまで力作がそろって楽しくおいしいことになりました。主催者もこれだけ良作が揃うと思っていなかったのでウハウハです。お返しにばっちり記事にしたいと思い、予定外ですが振り返り記事を作成する運びとなりました。


 そこで、今回集まった20作品から企画主が勝手にいくつか「コレ!」と思うものを選びました。これはスイーツ抜きに「こういうところ真似したいな!」と思った作品のテクニックみたいな観点でピックアップしたものです。応援コメントやレビューでこれをやるとちょっとキモい感じになるので、ここで失礼させていただきます。


【王様のパンケーキ/五色ひいらぎ】

https://kakuyomu.jp/works/16816927861395275515


 これ読みながらずっと「いいな」って思ってたんです。パンケーキがおいしそうなのはもちろんなんですが、読者に与える情報の出し方がすっごく上手だと思いました。この作品は連作でその中のひとつなんですけど、これだけで登場人物の関係性がばっちりわかるんです。でもメインはパンケーキがとてもおいしそうだという描写に割かれている。じゃあパンケーキの描写が彼らの関係性に直結しているかというとパンケーキはパンケーキで独立した物体で、彼らの会話では全部完結している。でも説明臭さはあまりない。うわあ描写と会話と説明が調和している! まるで程よく泡立てられたきめの細かい生クリームね! と勝手に騒いでいました。好きです!!


【猫の集まる銭湯は今日も大賑わい/祐里(猫部)】

https://kakuyomu.jp/works/16818093075597242870


 こちらの作品はとにかく登場人物の使い方がうまいというか、描写に無駄がない。かわいらしい導入になごんでいたら、何の気のないセリフひとつにも先の展開を予期させるものが実は含まれていた、なんてのばかりです。これは本当に個人の好みですが、私はこういう「後で回収されるセリフ」ってすごく大好きです。正直1話のとある猫のセリフが後でばっちり回収されるとは思っていなくて、しかもそれが実はこの作品の根底だったなんて! ちゃんと登場人物が全員モブではなく生きている世界だなあと思い、まるでパンケーキの中から出てきた隠しフルーツじゃないか! と勝手に踊っていました。よかった!!


 二作品に共通して言えることは、作者が読者に見せたいビジョンをしっかりコントロールしているなってところです。あとお二人とも今回の企画にもうひと作品ずつ出されているのは偶然ですかね。


【星に祈りを、人に珈琲を/五色ひいらぎ】

https://kakuyomu.jp/works/16816927861271450759

 苦味と甘味が調和して、新しい絆が生まれました。


【ラムレーズン/祐里(猫部)】

https://kakuyomu.jp/works/16818023212929960169

 かわいいアイスはファッションであり私を守るものだね。


 どちらも素敵なお話でした! 謝謝!

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