第2話 説明と実践
異世界?
異世界からよくぞ参った、と言ったか?
さすがに我が耳を疑うぞ。
しかし、他に説明がつかない。コンビニから出たら「謁見の間」でした。ファンタジー映画とかゲームとかで見るような、あの謁見の間だ。赤い絨毯が敷かれ、その左右に騎士が並び、階段の上で玉座に王様が座っている。意味がわからない。ドッキリだとしても、何をどうすればこんな事ができるのか。しかもコンビニに居たときは夕日も沈んだ夜だったのに、今はどう見ても真っ昼間だ。ステンドグラスの窓から光が差し込んでいる。
「状況が飲み込めておらぬようだな、勇者よ。
余はミガッティ王国の国王ヤターラ・ミガッティ3世である。
このたび、我が国の窮地に際して、そなたを異世界から召喚した」
ヤタラ・ミガッテ国王?
名前通り身勝手に他国――というか他世界から人を拉致したわけか。そして悪びれもせず。クソ確定だな。
「窮地というのは、魔王軍が侵攻してきているのだ。
やつらは猛獣よりも強く、我が軍は手を焼いている。そこへ、さらなる強敵が現れたのだ。魔王軍四天王と名乗っておったらしい。
その圧倒的な強さの前に、我が軍は手も足も出なかった。文字通り一方的に蹂躙され、なすすべも無かったのだ。
だが、甘んじて滅びるつもりはない。そこで、そなただ」
身勝手国王が熱弁を振るう。
でも、それはソッチの都合だろ? 俺には関係ない。
「我らは、この世界よりも『上』にある世界から、勇者を召喚することにした。
万物は上から下へと落ちる。その落ちる物体には『下へ向かうためのエネルギー』が宿っている。
まさに、そなたも同じだ。上の世界から下の世界へ移動したために、そなたには膨大なエネルギーが宿っており、それを使いこなせば魔王軍とて蹴散らせるであろう。
まずは、それがどれほどの物か見てみようではないか。勇者よ、『ステータスオープン』と唱えるのだ」
なんかゲームみたいだな。
この拉致加害者たる身勝手国王はキライだが、この世界そのものにはちょっとワクワクしている。
いいだろう。やってみよう。どうせ今のままでは帰る方法も分からない。
「ステータスオープン」
唱えると、目の前に半透明のウインドウが現れた。
ゲームでよく見るステータス画面だ。
ヨシオ・タケ
LV1
HP100
MP500
STR10
AGI10
VIT10
INT50
CON50
MEN50
EXP11451419194545810931893
これは、経験値をステータスポイントとして割り振る感じかな?
「見えたようだな。
だが、そのままでは他の者には見えない。
そこで――」
身勝手国王がひとつ頷くと、横に並んでいた騎士たちの1人が進み出た。
その手に、1つの輪があった。手足にはめるには大きすぎるが、腰にベルトとして使うには小さすぎる。ちょうど……そう、首にはめるのに良さそうなサイズだ。
悪い予感しかしない。
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