第55話 桔平---side3
花乃は自分から言わなかったけれど、教師という立場を利用して、花乃の誕生日を調べた。職権濫用してしまった。
約束を形にしたかった。
それで誕生日プレゼントにペアリングを買った。
その頃、僕と花乃のことが噂になっていたのは耳に入っていた。
でも、全部バレても構わないと思っていた。
教師になるのは夢だったけれど、もし、どちらか選ばないといけないとしたら、迷わず花乃を選ぶ。
花乃の指に指輪をはめたタイミングで、大貫先生に見られてしまった。
だから全部話そうと思った。
けれども、それを花乃が止めた。
花乃は知られたくないと思っている?
花乃が知られたくないと思っているなら、自分が言うわけにはいかない。
花乃の真意を図りかねていると、筒井先生が、指輪は自分のものだと言い始めた。
そして花乃が指輪を、花乃の手から、筒井先生に渡してしまった。
それで何も言えなくなった。
その後のやり取りは聞いていなかった。
誰が何を言ったのか、全く頭に入っていなかった。
ただ、走ってその場を去って行った花乃のことばかり考えていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます