第5話 お姉ちゃんの忘れ物

朝早くにお姉ちゃんが大学に行くのを見送ってから、静かに朝ご飯のお皿を片付けた。

吉にぃは夜が遅いからまだ寝ている。

起こさないようにそっと2階に上がろうとして、玄関に茶色いマチのついた封筒が置いてあるのを見つけた。


何だろう?


封筒を裏返すと、「英文学科 A32番 茅野冬華」と書いてある。


お姉ちゃんの?


封筒を持って階段を上がっている時に、昨日の会話を思い出した。

お姉ちゃんは確か「明日提出のレポート」の話をしていた。


まさかこれ忘れ物?


すぐにお姉ちゃんに電話した。

でも数回コールした後、留守番電話に切り替わってしまった。

電話に出ないと言うことは、テスト中なんだ。


『レポート忘れてない? 取り合えず持って行きます テスト終わったら電話して』


メッセージを入れてから、急いで支度をした。


テーブルの上に「出かけます」とメモを残してから、封筒を持つと、家を出た。

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