第8話 オークション
翌日大学を終えた俺は登録証を受け取る為、すぐにダンジョン管理局へと向かった。
「換金所のお姉さん登録証は出来てますか?」
「その呼び方は何ですか。確かに換金所のお姉さんだけど。」
「いや名前聞いてなかったんで、どう呼べばいいのかわからず…」
「自己紹介まだだった?ごめんなさい私は緑川 優月。優月でいいですよ。で登録証でしたねもちろんできてます。どうぞ」
おーかっこよくなってる今まで名刺みたいな登録証だったのにカードみたいな質になった。チップでも埋め込んであるのかな?
「Cランクの特権は専用のオークションサイトを利用できることと撮影ドローンの配布です。一つ目のオークションサイトは一応国が認めた制度で全世界共通のビッグサイトになります。日本だと売り上げの5パーセントを税金として納めなければいけませんがそれ以外の手数料などは発生いたしません。
ドローンについては結構情報が回っているのでお分かりだと思いますが配信をメインで行っていただき低ランクの探索者たちの見本になって頂くためのものになります。特に必ず配信をしないといけないという事もございませんのでご安心ください。
現在Cランクは日本で300人ほどで大体の方が50から60階層に潜られています。説明はこのくらいでよろしいでしょうか。」
「丁寧にありがとうございました。早速オークションに登録したいものがあるんですけどいいですか?」
「もちろん大丈夫ですよ。お売りしたいものを鑑定に出しますのでこちらでお預かりいたします。」
三つともを渡し数分したところで優月さんが顔色を悪くして走ってきた。
「松林さんすぐに一緒に来てください。ここの代表がお会いしたいそうです。」
あぁ面倒くさい。
「松林です。何か御用でしょうか。」
「松林君。私はここの代表を任命されているAランク探索者能美 和義と申します。早速ですがこのアイテムたち、鑑定士のジョブを持つものが鑑定するところによるとSSSランクとAランク・Bランクと高性能のものばかりでした。
そこでご提案なのですが今回はこのアイテムたちを国で買い取らせていただきたい。3つ全部で5億用意しますどうでしょうか?税金ももちろん頂きません。」
やはりそういうことか、金額は申し分ないとは思うが今回の目的とはそぐわないので適当に理由をつけて断ろう。
「今回はこのアイテムたちがどれくらいで取引されるかを確認したいのでお断りさせていただきます。どうしても欲しいとおっしゃられるのであればオークションで競り落として頂きたい。」
「そうか残念だが仕方ないですね。わかりました。では手続きに進めたいと思います。今回は成り行きを見守りたいので私が担当いたします。」
意外とすんなり引いてくれたな。利権がどうのとかで色々と言われるかと思ったがこの人は仕事熱心な人なのかもしれないな。
「大まかな流れを説明すると開始価格をこちらの紙に記入して頂きオークションを開始、24時間ほどたったところで終了、税金の5%を除いた全額を登録証内蔵のチップに入金されます。簡単に説明するとこんなところです。」
「ではこの金額で開始して下さい。」
SSSのアイテムは3億円からでAランクは1000万Bランクは500万と設定した。
「こんなに少なくて大丈夫ですか?もっと高めでも売れると思いますけど」
「いいんです。今回は流れを見てみたいだけなので。」
そう今回の目的は世界がアイテムの価値をどの程度理解しているかを確かめるためなのだから。極論を言うとこれらのアイテムをこの値段で売ることでランクの低いオークション品をそれ相応の値段に落ち着かせることができればいい。
このオークションサイト使えないアイテムだというのに1000万が開始価格になっていたりするのだ。アイテムのインフレを止めないと低ランクの探索者は弱いままになってしまう。それを避けようというのが実際の目的である。
「じゃあ僕は家に帰ってまた明日オークションの結果を聞きに来ます。」
「ではまた明日。この部屋に直接お越し頂ければすぐに対応致します。」
明日から土日で大学は無いので存分にダンジョン攻略ができる。早く長期の休みになんねーかなぁ。
この日オークションサイトを見た各国探索者達はざわめいていた。
・SSSランクのアイテムが掲載されている。
・同じ人間がAとBのアイテムも登録している。
・そのどれもが今まで出たことがないアイテム。
・価格も随分と安い。
・性能があまりにも現実離れしている。
この異常さに開始数時間はおとなしかったオークションだったが裏では話題を呼び一番注目度の高いオークションになっていたが当の本人はそのことに気付いていなかった。
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