第4話 Sランク冒険者
目立ちたくないと豪語していた俺、探索者デビュー日にSランク冒険者に最高到達階層にて声をかけるという暴挙にでていた。
しかも気配を消しつつ急に声をかけたせいで4人からは武器を向けられている。
「あなたは一体どこから…いやいつからそこにいたの。気配が全くしなかったのだけれど。」
「皆さんの勇姿を影ながら応援させていただきました。俺がきたのは魔物と戦っている最中でしたので俺に気づかなかったのはそのせいではないでしょうか。」
「いやそれにしても1人でこの階層まで?パーティを組んでいるならお仲間はどこにいるの?」
なんだか怪しまれてるなぁ。ちょっとショックだが仕方ないだろう弁明しておくか。
「俺はソロです。なんなら昨日探索者登録したばかりの新人です。本来ならこんなところまでこれる実力はないはずですが、何かしらの罠に引っかかった結果気づいたらこの階層にいたのです。」
証拠に登録証を見せつけながら説明した。
『どうする?この子の話が本当なら1人置いていけないよね?地上まで送ってあげる?』
『そうねぇ今日の探索はここで引き上げることになるけど仕方ないわね。』
『皆同じ意見のようね、じゃあ今日はここまでにしましょう。彼に伝えてくるわ。』
なんだか小声で相談していたが俺のステータスだと全て聞き取れてしまった。とても申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
「まずあなたお名前は?」
「松林 蓮です!蓮と呼んでいただければ幸いです。」
「松林くんね。まずここは102階層です。あなたレベルの人だとすぐに死んでしまうと思うの。だから私達で地上まで送り届けてあげる。」
「えぇ102階層?でも送り届けると言ってもどうやって?」
「実は転移石というものがあるの。私の予備を貸してあげるからこれを使うといいわ。でも登録してるのは10階層だからそこから一緒に地上まで行ってあげる。」
やはりこの人は女神だ。なんて優しいのだろう。見た目も美しい声も美しい千葉の救世主よりも千葉の女神という方がお似合いだろ。
「じゃあこれを手に持って転移と口に出して。」
「転移!」
こうして10階層に戻ってきた俺は美女軍団に囲まれながら入り口まで戻ってきた。
そしてややこしい嘘をついてしまったせいでダンジョンの関係者に色々と質問され、時間を無駄にしてしまった。
それにしても愛香さん綺麗だったなぁ、と余韻にひたりながら買取所に向かった。
「買い取りをご希望ですね!登録証を提示して下さい。」
「はい。お願いします。」
「松林 蓮様 Gランクですね。ありがとうございます。ではこちらに買い取り希望品を出して下さい。」
「これらをお願いします。」
リュックから大量に魔石【緑】を提出した。
「え、初日ですよね?いきなり11階層以降に行かれたんですか?」
「ええ少し戦うと低層階の魔物よりも圧倒的に自分の方が強いことがわかったので先に進みました。」
「確かにそういった方も中にはいらっしゃいますが…私が担当になってからは初めてです。」
ランクアップに必要な数が揃っていることも確認してもらい、手続きに移ってもらった。
「魔法戦士というジョブはすごいですね。これからのご活躍期待しています!」
「ありがとうございます。がんばって強くなります。」
Fランクの登録証と買い取り金額20万円を受け取り帰路についた。
「千葉でまた英雄が誕生するかもしれないな。」
「えぇ、たった1日でFランクに上がった人達は大体が数ヶ月ほどでAランクになっていますからね。それにしても課長いつからこちらに?」
「そんなことはどうでもいいだろう。あいつ、松林とかいったか。出来る限り買い取り時の対応はよくしておけ。」
「かしこまりました。」
それにしてもさっきの小僧、Aランクの俺の気配に気づいていたような気がするんだがな。松林とかいうGランク少し探りを入れてみるか。
英雄を期待されていることなんて全く気づいていない俺は今日手に入れた20万円をどう使うかで頭の中がいっぱいだった。
「ただいま!母さん美涼!焼肉に行こう!」
「帰ってきて早々何言ってんの。もう今日はご飯作っちゃったわよ。怪我とかないの?」
「うん怪我はしてないよ!それよりも今日の成果聞いてくれよ!なんと20万稼いできました!」
「えぇそんなに⁉︎母さんも調べてみたけど初めの頃は1日多くても数万が限界じゃなかったの?」
「まぁそこは俺の才能がすごいということだよ。だから焼肉にいこう!明日でもいいからさ!」
「わかったわそれならご馳走になろうかしら。」
「美涼は?風呂?」
「そうよ。あなたもご飯冷めないうちに食べて早くお風呂入ってしまいなさい。明日からは学校でしょ?」
そうなのだ。大学生なので平日は学業に専念しなければならない。まぁ学校終わりに潜りますけれども!
明日も学校終わりにダンジョンにちょっとだけ潜ることを母さんに伝え今日は眠りについた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます