第2話 探索者登録

 早朝目を覚ました俺は早速出かけることにした。探索者の登録は役所ならどこでもできるというわけでもない。専用の役所で行う必要があり、俺の家から公共交通機関を用いて大体2時間ほどのところまで出る必要がある。

 

 朝の9時から受付開始と書いてあったので意識が高い俺は8時半にはついておこうと早めに家を出たのだ。転移を使えば一瞬でつくじゃないかと思う人もいるだろう。

 

 しかしダンジョン外では緊急時以外スキルや魔法の使用が禁止されているのだ。まぁ使用してもバレやしないがな。俺は意識高め男子なのでそこはこれからも守って行くつもりだ。


 ということで9時になった瞬間受付に行った。


「今回はどのようなご用件でしょうか。」


「探索者の登録にきました。持ち物はこれで間違いないですか?」


「登録ですね。かしこまりました。ではこちらの書面にご自身のステータスとジョブをご記帳ください。その間にお持ちいただいた書類を確認いたします。」


 もちろんここは嘘のステータスとジョブを書いておく。でないと勝手にダンジョンに入った犯罪者と認定されかねないからだ。


 探索者にはジョブシステムが存在する。これが結構幅が広く、よくある戦士や魔法使いからユニークジョブと呼ばれるものまでわかっている限り100以上のジョブが存在している。


 俺のジョブも嘘をつかないと面倒になりそうなのでとりあえず魔法戦士としておいた。魔法戦士は多くはないが別に少なくもないジョブなので選んだのだ。


「書き終わりました。お願いします。」


「ありがとうございます。ではこちらの機械に指をかざしてください。」


「はい。」


「ではこちらが登録証です。それとこの冊子も必ず読んでおいてください。探索者としての心構えからルールまで記載がありますので読んでおかないととんでもないことになります。」


 特に問題なく登録を終えた俺は一番下のGランク探索者となった。


 しかし意外と今の段階でも探索者登録をする人達がいるんだなぁと混んでいる受付を見て考えていた。


 初期の探索者だけでなく後からポツポツと探索者として覚醒する人間が出ているらしいが、一部の人達の間では死んだ覚醒者の分補充されているのではと憶測も飛び交っている。


 早速ダンジョンに潜りたいのだが、母との約束を守るために一度家に帰ってまた明日行くことにした。


 昼前に家に帰った俺は明日のダンジョン攻略に向けて武器を作成するため自分の部屋にあるダンジョンに潜った。このダンジョンでは時間の流れが現実世界とは違い、計算したところ外の世界の3600倍ほど速いのだが俺の年齢は現実世界と変わらないという不思議空間である。


 先の戦闘で使える武器を無くしてしまった俺は101階層にある神殿のような見ための建物にきている。実はこの神殿セーフティゾーンとなっており、ここに今までため込んだ物資を保管している。

 なんなら鍛治の道具や錬金釜を作成しここで武器やらを作っている。というわけで武器を作っていくわけだが、3分クッキングくらい簡単です。

 素材は1800階層によく出るカマキリに似た黄金蟷螂のブレードの部分と俺の手にフィットする2000階層にいる骸骨の太ももの骨を使用する。

 このブレードとにかく鋭く硬いのだ。どんな鉱石を使用した武器よりも硬いせいで当時ガードができず苦労したことを思い出すなぁ。

 今となっては魔法一発で仕留める事ができるから素材としか見れないが。


 そして骸骨のふとももめっちゃ細いのだが、ちょうどにぎると親指と人差し指がひっつくかひっつかないかの一番力が入りやすい太さである。

 これを鍛治でちょちょいとやると完成。素材2つで最強の刀が出来上がり。ね、簡単でしょ?

 

 そんなこんなで準備を終わらせて自分の部屋に戻ってきたら晩飯までまだだいぶ時間があったので明日の持ち物を確認する。

 まずリュック、に登録証とペットボトルの水を2本、サバイバルナイフ、千円札を2枚これは昼飯用、まぁこんなところだろう。


 正直なところアイテムボックスのスキルを持っているのでこんな準備意味がないのだが、何も持たずに行くとスキル待ちであることを公言するようなものなので仕方なくリュックを持っていくことにした。


 いずれバレるだろうが最初のうちはなるべく静かに探索者として行動したいと思っている。

 

 時間を潰していると高校から妹が帰ってきた。


「美涼、お兄ちゃんがお金持ちになったら何か欲しい物はあるか?」


「そうだなぁ。今一番欲しいのは学校まで送ってくれるお兄ちゃんかな。」


「確かに学校まで歩きで1時間はかかるもんな。

よしわかった!とりあえず車を買っていつでも送り迎えできるようにしてやる!」


「やったぁ流石お兄ちゃん!でも本当に稼げるの?危険みたいだし無理だけはしないでね?」


 妹にここまで言われたら頑張らざるを得ないそれこそ命に危険が生じようが知ったこっちゃない。俺の命よりも妹の喜ぶ顔の方が優先度が高いのだ。


 母さんが帰ってきたので明日ダンジョンに潜ると伝えその日は風呂に入って眠りについた。

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