時間の速さが現実とは違うダンジョンに潜った俺気付けば最強だった。
スーパーレモンX
第1話 憧れの探索者
俺の名前は松林 蓮、現在俺の部屋にできたダンジョンの3500階層のボスと対峙しています。
見た目は醜い、匂いは臭い、声は頭に響くの最悪3拍子。
「嫌だなぁこれを切るの。魔法も試してみたけど効かないんだよなぁ。この見た目で魔法無効だとは思わないじゃん。」
といいつつ仕方がないので武器で攻撃を仕掛けまくったがあまり意味をなさなかった。
向こうの攻撃は速いし地面は溶けるし時間が経っても無くならないしで足場ももうないんだよ。
「これはむりだぁ...魔法無効で物理攻撃すると武器が溶けるという。なんて無理ゲー。」
ということで一旦逃げます。
ボス部屋から逃げた俺は転移を使用して自分の部屋に繋がる入り口まで移動した。
「よし、帰ろう。使える武器も全部溶けたことだし、しばらくは武器を作らないとなぁ。面倒臭い。」
うちに帰ってきたらちょうど飯の時間だった。
「お兄ちゃーん。ご飯だよ!さっきから呼んでるんだから早く降りてきて。」
俺には妹がいて今は高校2年生で俺の2つ年下だ。青春真っ只中にあの災害が起きてしまった可哀想な世代だ。
「わかったよ美涼〈みすず〉、すぐ降りる。」
食卓を囲んでいるのは俺と妹、そして母親の3人なのだが、父親は去年の災害以降行方不明になっている。
「お兄ちゃんこれ私が作ったんだよ!美味しいでしょ〜」
こんなことを今時言ってくれる妹はどこにもいないだろう。本当に可愛くて仕方がない。俺たち兄妹は高校が同じで毎日一緒に登校していたほど仲がいい。
そんな最中あの災害が起きてしまった。俺の地元は千葉の田舎の方だったので被害が軽微だったが東京など都会の方ではそれはまぁ死傷者が多数でている。俺たちの父親もその時仕事の関係で東京にいたそうだ。
俺が探索者になって強くなりたいと思ったのは、父親の行方不明による家族の悲壮感をなんとかしたいと思ったからなのだ。
しかし、いくら経っても探索者となることはできなかった。
災害が起きてから数ヶ月たったころ俺が大学から帰ったら部屋の壁に大きな穴が出来ていた。どうしてそこに入ったのか今となってはよくわからないがその時は入るしかないと感じたのだ。
そして俺は探索者として覚醒した。
まぁなんだかんだで今の俺はそこそこ強いと自負している。
当時日本政府はこの災害以降すぐに法律の改正を行った。まず探索者として覚醒した人間は各行政機関に登録をしなければならない。この登録がないものはダンジョンへの入場ができないというものが一つ。
そしてダンジョンから出た資源を有効活用するために買取りや探索者支援を行う機関、ダンジョン省というものを作り予算を振り分けたのだ。
実は日本のダンジョン省これが大正解で今の総理大臣の支持率は大きく上がっている。
なんといっても行動が早かった。ダンジョン周辺に買取所を設置し、買い取り額も異常なくらい高い。各企業が国から物資を買う際は買取額よりも安く売ると大盤振る舞いだった。そのため探索者は皆そこに持ち込むという、循環機能がすぐに出来上がったのだ。
なぜそれで支持率が上がったのか・・・実は他の国では政府の行動が遅くなったせいで、探索者が高く買い取ってくれる企業がいるダンジョン付近に集中し、地方で被害が拡大するという悪循環に大体の国が陥っていた。
もちろん自分の地元を守ろうと地方を離れない一部の探索者はいたがそれだけで防げるほど魔物達は甘くなかった。
このように世界は今ダンジョン中心の経済となっている。
そして俺は明日探索者として登録に行くことにしている。家族にも今から伝えなければならないのだが心配するだろうな。
「母さん、美涼、実は言っておかなければならないことがあるんだ。俺探索者になったんだ。明日登録に行ってくる。」
「えぇぇぇ!お兄ちゃん覚醒したの?いつ?今日?凄くない!?」
「いや実は少し前から覚醒していたんだがダンジョンに潜るのに色々と準備をしていたんだ。」
「でも蓮、危ないんじゃないの?いくら探索者といっても何人も死人が出ているってニュースでよく見るわよ。」
「あぁだからこの3ヶ月準備していたんだ。」
「3ヶ月も?でも蓮が何かしていたって記憶にないんだけど。」
「そこは信じて欲しい、安全マージンは十分なほど考えてる。父さんが死んだかどうかわからないからといって保険が適用されなかっただろ?家計を少しでも助けたいんだ。もちろん学業は優先する。だから頼む許可をくれ。」
「そこまで言うならわかったわ。でもダンジョンに行く時はちゃんと教えてね。」
「うちもお金もちになれるんだ。お兄ちゃん頑張ってね!」
妹の能天気さはともかく母さんの許可を無事に得ることができてよかった。
まぁ調べた限り今のダンジョン最高到達階層が100階層ほどだそうなので俺が命の危機に瀕することはまずないだろう。
ということで明日の準備と武器の作成をして眠りについた。
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