奥の太道

灯火(とうか)@チーム海さん

第1話

 人生は

 奥へ行く程

 太い道

 経験良くして

 心広がる




「いいか、人生っつうんはな、奥に奥に、さらに奥まで経験を重ねて、やっと理解で

 きるんだ。」


 また、じいちゃんの説教がはじまった。

 もう、耳にイカもできちゃうよ。


 人生なんて、語ってどうするんだっての。



 ×+×+×+×



 道ばたを歩いていたら、花を見つけたんだ。

 普段気づかなかったから、思わずこういった。


「花が咲く季節になったね。」


 そうしたら、


「ずっと咲いてるわよ、この花は。」


 なんて、突っ込まれた。

 その場では、笑って過ごしたが今もずっと、心に残っている。


  なんで、気づいてなかったんだろう、と。



 今日も、また道ばたを歩く。


 でも、いつもと違う姿があった。

 ただ見てるだけじゃ灰色だけど、道路は、ざらざらしていて、所々欠けていた。


 道ばたの雑草も、どうにか隙間に生えていて、場所を取り合っている。


 上を見上げれば、花があった。


 まぶしい、太陽があった。



 僕は、まだ周りが見えていなかったんだ。

 経験を積むって、こういうことなんだ。



 じいちゃんの話が、不意に聞きたくなってきた。

 まだ、まだ、知らない世界がある。


 そう、思った。

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