四通目往信 裏社会からの手紙
ここはとある郵便局、どこにでも存在しどこにも存在しない、いつからここに建っていたのかすら誰も知らない。
どこかの街角はたまた人里離れた山の中、古今東西、人のいや人ですらないモノたちが住む場所ですら、誰かの目の端にひっそりと佇んでいる。
そんな摩訶不思議な郵便局には曰く付きの手紙が集められる。
今回の手紙もまた、そんな曰く付きの一通であった。
郵便局長の無数の触手によって仕分けされ、黒いローブを纏った配達員たちは担当地区への手紙をそれぞれ受け取る。
そして、配達員たちはふよふよと虚空を舞い、
届けられた手紙はどんなドラマを綴っていたのだろうか?
🍷🍷🍷
前置きはナシだ。
おめーを狙ってるやつがいる。
なんで分かったとか、どうして教えてくれるのかとか、くだんねーこと訊くのもナシだ。どうせおれが答えてやれることなんざ小指のさきっぽほどもねえ。
おれがだれか、なんてのも訊くなよ。
おめーはただおれの忠告を聞いておけばいい。
言っておくが、警察に駆け込んでもムダだぜ。
上層部にグルになってるやつがいるからすぐ握りつぶされるだろうし、ヘタすりゃ署内で殺られっちまうのがオチだ。
どうせおめーのことだからのほほんとしてやがるンだろうが、これはマジだ。今回だけはおれの言うことを信じろ。
この件に関しちゃ、おれはおおっぴらに動くわけにいかねえ。利害がごちゃごちゃに絡みまくっていやがるからな。
とにかくおれからの忠告はふたつだ。
あの件からは手を引け。
しばらく家ンなかにでもひき籠ってろ。
といってもどうせおめーは聞かねえンだろ。
なにか言いたいことがあるなら聞いてやる。助けがいるなら、言え。
おめーのことはどうでもいいが、おめーが死ぬと、泣くやつがたっぷりいやがンだよ。まったくめんどうかけやがって。
明日使いをやる。そいつに返事をわたせ。
しちめんどくせーことに巻き込まれやがって、ま、おめーらしいけどな。
せいぜい長生きしろよ。
✉
~ この手紙の返信は後半に…… ~
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