5章 サバト革命

第80話


「トゥーちゃん、トゥーちゃん。あれ見て!」

「はいはい、何でしょうかセド君」


 春も終わりに近づくころ。


 自分は小さな男児の手を引いて、小さな村落を散歩していました。


「変なの歩いてる!」

「む……、あれはヤマネコですかね」


 ここはサバト領内のタール川付近にある、農業と酒造を主産業とするオセロという小さな村です。


 北部決戦の後、自分はゴムージに救われてこの村に亡命していました。


 それから数か月、自分はこの村で平和に生活していました。



「あれ、噛むかな?」

「はい、噛むかもしれないので近づいてはダメですよ」

「うん!」



 今自分が相手をしている子は、ゴムージの息子さんのセドル君です。


 くりくりとした垂れ目が可愛い、悪戯好きでわんぱくな4歳児です。


 ゴムージ夫妻が出かけている間は、自分が彼の世話をするのが日常になっていました。





 このオセロという村はゴムージの生まれ故郷だそうです。彼の両親はオセロを起点に行商をして、それなりに裕福な暮らしをしていました。 


 少年時代のゴムージは、両親の行商に付き添って商売の手伝いをしていたそうです。


 しかし運悪くオースティン滞在中に東西戦争が勃発し、ゴムージ一家はサバトに帰ることが出来なくなってしまいました。



 戦争が始まってから、ゴムージはオースティンの農村で肩身の狭い生活をしていました。


 敵国の商人であることを理由に酷い扱いを受け、母親は暴行死してしまったそうです。


 彼の父も重い肺炎を患いましたが、『サバト人を治療する義理などない』と見殺しにされました。



 そんな理由でゴムージは、ひどくオースティンを恨んでいました。


 父親の遺産を使って、テロでも起こしてやろうかと考えていた程だそうです。



『随分金を持ってそうやのに、死にそうなツラしてるなぁおっちゃん』

『何だテメェは』

『どうせ死ぬならその金くれや、可愛い女の子に使ってもらった方がお金も幸せやろ』



 そんな不幸のどん底にあった彼でしたが、夜の街でクーシャさんと出会いました。


 クーシャさんは、親に売られてオースティンまで出稼ぎさせられていたチェイムという東国出身の娼婦でした。



『その金が有れば、ウチは自由になれんねん』

『そんなの、俺の知ったことか』

『じゃあ、まずはウチの事を知ってもらおか』



 その後に色々あったそうで(詳細はゴムージが恥ずかしがって頑として話してくれませんでした)、ゴムージはクーシャさんに惚れこみ、大金を使って身請けしました。


 クーシャさん自身もゴムージの事をあしからず思ったそうで、そのまま二人は夫婦となりました。


『なぁ、ゴムージ。サバト出身ってのは隠して、こっそり生きやんか』

『そうだな』


 そしてゴムージは自らがサバト人であることを隠し、オースティン人としてマシュデールに移住しました。


 そこで彼は衛兵の仕事について、クーシャさんと共に幸せな家庭を築きました。


 元気な男の子も授かって、まさに幸せも絶頂というそんな折。


『あ? 俺が、徴兵……?』


 シルフ攻勢によって、マシュデールまで戦火が及ぶこととなったのです。




 そこからは自分も知っての通り。


 無理やり徴兵されたゴムージはガーバック小隊から逃げ出し、両足を失いながらも自分とマシュデールを脱出しました。


 彼は負傷退役となり、その退役金を元手に馬車を購入し行商を始めます。


 首都で売れそうな商品を根こそぎ買い込んで、そのまま南部都市に移り住む予定でした。



 しかし彼は、フラメールが侵攻の手筈を整えているという噂を耳に挟みます。


 噂を聞いたゴムージは悩みましたが、真実であると考えサバトに亡命する決断をしたそうです。



 彼は非合法な組織に渡りをつけ、タール川を密航する算段を立てました。


 そしていよいよ決行に移そうかという折、瀕死の自分が目の前に流れ着いてきたそうです。



『他のオースティン兵なら迷わず見捨てるが、先輩なら話は別だ。俺はあの村のオースティン人のように、薄情でも不義理でもない』



 そこで彼は、共に亡命を試みていたサバト人癒者に頼み込み、財産をはたいて自分の治療をしてくれました。


 自分の意識がない間も看病をしてくれていたようで、何とか自分は一命をとりとめました。


 そして放心状態だった自分を、オセロまで連れてきてくれました。


 第一印象は最悪でしたが、彼は意外に義理堅い性格だったようです。



 因みにオースティン兵の装備を持っていたらマズいので、自分の装備は河岸に捨て置かれたそうです。

 

 あの場所から持ってこれたのは、昏睡していた自分が握って離さなかったロドリー君の服の切れ端だけでした。



 そんな経緯で自分は、オセロ村に住む事となりました。


 現在自分は共に亡命してきた癒者───アニータさんの診療所で癒者として働いています。


 その給金をゴムージ家に入れ、彼の養子みたいな扱いで生活をしています。


 




 因みに、自分がオースティン人であることはすぐばれました。サバト語を話せないので。


 敵国民である自分は、それなりの扱いを受ける事になると思っていたのですが、


『その歳で苦労したねぇ』

『これから我々の仲間になるんだろう? ここは良い村だ、のんびり暮らせばいいさ』


 想像に反して、オセロの村人は殆どが自分に同情的に接してくださいました。


 ゴムージ曰く、自分の幼い容姿がプラスに働いた結果だそうです。


『癒者が増えるなら大歓迎だ、困った時は頼むよ』

『君みたいな子供に、オースへの恨みをぶつけられんさ』


 サバトの兵士は残酷でしたが、サバトの民は牧歌的な人が多い様です。


 そんなこんなで、自分は遠い異国の地で幼い男の子の世話をしつつ、平和な日々を過ごしていました。




 こんな幸せな暮らしをしている自分ですが、心にずっと何かが引っかかっていました。


 それは恐らく、オースティン軍に戻らなくていいのかという強迫です。


 軍規に従うならば、兵士である自分は部隊とはぐれた場合、速やかに生存を軍に報告すべく帰還しないといけません。



 しかし、自分がタール川を渡りオースティン軍に帰還するのは困難でした。


 北部決戦の後、両国とも川岸に警戒網を敷いていて、迂闊に渡河を試みれば射殺される危険があるのです。


 戦闘中のどさくさに紛れて渡るならともかく、現状で船なんか出せばハチの巣にされるでしょう。



 そんな訳で、自分は兵士の仕事を忘れ、


「トゥーちゃん、だっこ! だっこ!」

「もう、仕方ないですね」


 平日は町の癒者として診療所で働き。


 休日はゴムージの息子セドル君の面倒を見つつ、家事の手伝いにいそしむ平和な暮らしをしていたのでした。







 診療所の主、アニータさんも自分によくしてくれていました。


「いやぁ、助かるねぇ。アタシは魔力が少ないから、アンタが手伝いに来てくれて本当に感謝してるよ」

「いえ、自分こそよく学ばせていただいています」


 ……それは、とても平穏な日々でした。


 胸が痛くなるような、甘く蠱惑的な生活でした。


 自分が戦場でずっと求めてやまなかった、命の危険も大事な人を失う恐怖もない平和な日々でした。


「アンタの診察、かなり評判がいいよ。丁寧だってさ」

「嬉しいご意見です」

「トウリ、アンタもう帰還しようなんて考えないでさ。ずっと、ここで暮らせばいいじゃないか」


 この村が平和であればあるほど、自分の中の何かが減っていくのが分かりました。


 オースティンの窮地は、まだ続いています。


 ドールマン氏やケイルさん達も、きっとまだ衛生部で頑張っています。


 アリア大尉やヴェルディさん、レンヴェル少佐なんかも戦場に立って命がけで戦っているかもしれません。


 だというのに自分だけが、このような生活をしていいのでしょうか。


「もうアンタは十分頑張ったよ。これからは、ただ幸せに生きればいい」

「……」


 軍に戻れば、また命がけの日々がやってきます。


 ゴムージは、ロドリー君の死亡を確認したと言っていました。


 彼のドッグタグを付けた肉塊は、自分を守る様に抱きしめ果てていたそうです。


 ……ロドリー君は死してなお、自分を守ろうとしてくれたのでしょう。


 彼の仲間想いは、筋金入りです。


「ええ、そうかもしれませんね」

「だろう」


 せっかく、ロドリー君に守ってもらったこの命。


 無駄に危険に晒さずに、このまま平穏に暮らしていくべきなのかもしれません。


 自分一人がオースティン軍に戻ったところで、きっと戦況は変わらないでしょう。


 だったら、せっかく得たこの平穏を大事にしても悪くないのではないでしょうか。


「あの河がある限り、アンタはオースティンに戻れないんだ」


 いずれにせよ、今の自分に選択肢なんてものはないのです。


 軍に帰る決心をしたところで、あの河を渡れるだけの資金も度胸もありません。


 ならば大金を使って自分を助けてくれたゴムージに対する恩に報いる為、診療所で働いてお金を入れるのが筋だとも思います。


 そう自分を納得させて、あっちこっちへ走るセドル君を追いかけながら、自分はため息をこぼしました。







「おう、今日はセドルの世話を任せて悪かったな先輩」

「おかえりなさいゴムージ。奥さんとデートは楽しめましたか」

「モチロンよ、そろそろ2人目授かるかもな」


 ゴムージは、この村を起点に行商を始めました。


 彼はオースティンから運び込んだ馬車を使って、ふらりと1か月ほど居なくなり、商品を仕入れて戻ってきます。


「セドルはどうしてる」

「遊び疲れて、もう寝ています」

「先輩に随分なついたみたいだな、クーシャが『息子取られた』って愚痴ってたぞ」

「ははは」


 ゴムージは村に滞在している間、よくクーシャさんとお出かけしている様子でした。


 マシュデールでは仕事で時間が取れなかったとかで、ここでは毎日のようにデートに出かけています。


 仲睦まじい事で、良い事です。


「先輩も大分、サバト語が上達してきたな」

「もう3か月も、診療所で仕事していますからね」

「まぁ、基本の文法は一緒だからな。後は単語さえ覚えりゃすぐだ」


 サバト語は、ゴムージ夫妻やアニータさんから教わりました。


 文法が似ていたので、日常会話はすぐ話せるようになりました。


「もうちょっとしたら、俺ぁまた商品仕入れに旅に出る」

「そうですか」

「また家を頼むぜ。先輩が守ってくれるなら怖いものなしだ」 


 人当たりも面倒見もよく、仁義と家族を大事にする男ゴムージ。


 戦争は人を変えると言いますが、ここでの彼は別人のように人格者で心優しいです。



 マシュデール撤退の時の彼は、追い詰められて余裕がなかったのでしょう。


 人間は場所が違えば、全く違った側面が見えてくるみたいです。


 ……他の戦友も、平和な場所で出会っていたら印象がだいぶ変わったのでしょうか。


 ガーバック小隊長とかがどうなるのか、ちょっと気になります。






 とまぁ、外国人である自分を受け入れてくれる村人も多いのですが。


「お前に触られたくねぇ。薬だけよこせ、あとは自分でやる」

「……」


 一部、やはり攻撃的な人もいました。


「どんな薬が有効かわからないので、診察させていただけませんか」

「うるさい。近づいたらぶん殴るぞオース豚」


 そんな人の多くは、戦争で家族を失った人でした。


 つまりオースティン兵に、身内を殺された人です。


 自分に恨みを向けるその心情も、十分に理解できます。


「やかましぃぞ、何を騒いでる」

「てめぇアニータ! オース豚の診察室に俺を入れるなよ、鼻が曲がるだろうが!」

「文句あるなら帰れ、アタシはお前に来てくださいって頭下げた覚えはねぇ。騒ぐなら営業妨害で牢獄番に突き出すぞ」


 この診療所で働いている癒者は、自分とアニータさんだけです。


 アニータさんは僻地では貴重な癒者なので、よく村の外からも診察依頼が来るのですが、


「診療拒否か? これだからオース豚雇ってる癒者は性格が悪ぃ!!」

「他の患者の迷惑になるから帰れってんだよ!」


 村の外の人は、オースティン人が診察しているなんて知らなかったと騒ぐケースが頻繁にあります。


 この男も自分の顔に唾を吹き付け、カンカンに顔を赤くして怒りだしました。


「……」


 この程度の暴言は、覚悟の上です。自分は、彼らにとって敵であり仇です。


 自分だって、サバト兵士を撃ち殺した事があります。


 嫌がらせを受けるのは、当たり前。


 殺さず受け入れてくれるオセロ村の懐の深さに、感謝をしておきましょう。










 ……とまぁ、自分のサバトの村での生活はこんな感じでした。


 一部の人から激しい罵倒を受けるのみで、概ね平和で静かな暮らしは出来ていました。


 しかし罵倒はされても、直接的な暴力をふるってきたりはされていません。


 なので、体罰に慣れていた自分にとっては暴言程度「どこ吹く風」でした。





「最近は盗賊が多いと聞きます。お気を付けて、ゴムージ」

「ああ、心配するなって先輩」



 しかしゴムージが再び行商の旅に出た後、とうとう恐れていた事態が起きてしまいました。


 それはいつものように診療所業務を終えた後、ゴムージの息子の遊び相手をしていた折です。



「……いきなり、何をするんですか!」

「あぁ?」



 セドル君の砂遊びを見守っていた自分は、唐突に肘鉄を食らい地面に叩きつけられたのです。


 激しい耳鳴りと激痛で、意識が飛びかけました。



「逃げんなこのガキ」

「やめてください!!」

 


 フラフラと立ち上がって周囲を見渡すと、3人の男がまだ4歳のセドル君を蹴り飛ばしていました。


 咄嗟に男の背中にしがみついてセドル君から引き離そうとしますが、逆に自分の喉を掴み上げられ、再び地面に叩きつけられました。


 ボキりと、腕の骨が嫌な音を立てます。



「貴方達は誰ですか!」

「何で答えなければならん」



 突然襲撃してきた彼らの顔を、自分は見たことが有りませんでした。


 しかし、その体格や面構えから何となく正体の想像がつきます。



「俺達ぁ、豚を駆除しに来ただけだ」

「オース産のくせぇ豚は、屠殺して川に流しておかねぇと」


 その、オースティンに対する怨みの感情。


 これは、何度も戦場でぶつけられたことのある明確な「殺意」。


「……今、あなたが蹴り飛ばした子はサバト人ですよ」

「貴様を受け入れている家のガキなら同罪だ」



 自分を嘲るその男は、刀傷で片目がありませんでした。


 他の男たちも腕が無かったり杖をついていたりしますが、肉体は筋骨隆々です。



「あなた方は、サバト兵ですね」

「ああ。お前らオース豚のせいで、大事な友をたくさん失ったよ」



 その男達はやはり、負傷退役となった元サバト兵のようでした。


 北部決戦がひと段落したので、故郷に戻ってきたのでしょう。



「オース兵は悪魔だ」

「幼い少年兵が命乞いしているのを見て、笑いながらその頭を撃ち抜いた」

「戦友の死体を串刺しにして、笑い者にした」

「悪魔が憑いていないと、あんな残虐な事は出来っこない」



 早口でまくし立てる元兵士の言葉で、自分が聞きとれたのはそんな内容でした。


 その眼は自分を殺す事に何の躊躇を抱いていない、狂った兵士の目でした。



「さあ天罰だ。悪事には必ず報いが来るのだ」

「今までの所業を反省し、後悔して死ぬがいい」



 自分と彼等は初対面の筈ですが、きっと理屈ではないのでしょう。


 オースティンは悪で、敵で、殺すべき相手。


 彼らにとってそれが当たり前なのです。



「……」


 周囲に人が集まって心配そうに自分を見ていますが、割って入ってくれる人はいませんでした。


 迂闊に自分を庇えば、巻き込まれる可能性があるからでしょう。


「自分を殺すのは構いません。ですが、この幼い子まで傷つけるような倫理にもとる─────」

「オース豚が倫理を語るな、おこがましい!」

「貴様らに正義を語る資格などない!」


 セドル君は大泣きしながら、自分の腕のなかで震えています。


 自分はそんなセドル君を【癒】で治療しながら、この子だけは助けてくれと兵士に懇願しました。


「ははは、貴様らオースが一度でも俺達の命乞いを聞いた事があったかぁ!?」


 激しい高笑いと共に、自分の顔面が蹴り飛ばされました。


 すみません、ゴムージ。家を守ってくれと頼まれましたが、自分は無力です。


 一介の衛生兵ごときでは、男3人に勝てるはずもありません。


「いいザマだ! 覚悟しろや!」


 せっかくロドリー君やゴムージに救ってもらった命を、こんな形で失うなんて胸が張り裂けそうです。


 せめて、セドル君だけでも何とか逃がしてあげたいのですが──── 



「俺達の恨みを思い知れェ!!」



 ……これが、戦争が終わらない理由です。


 自分だって、サバト兵に強い憎しみを持っています。


 村落での虐殺風景を思い返す度に、腹が煮えくり返りそうになります。



 しかし、自分はオースティン軍がサバトに行った蛮行の全てを知りません。


 味方の残虐行為など、いちいち軍は宣伝しないからです。


 彼らの口ぶり的に、きっとオースティンも大概な事をしたのでしょう。



 敵の非人道的行為だけを大々的に報じ、戦意を高ぶらせるのが軍のやり方です。


 だから互いに、互いをずっと憎しみ合うのです。



「楽には死なせねぇぞ、生まれてきたことを後悔させてやる!!」



 腹を蹴られ、血反吐を吐き、それでもなお暴行は止まる気配がありませんでした。


 終わらない、憎しみの連鎖。


 ずっとオースティン軍と殺し合いを続けてきた兵士の憎悪は、深く激しいものでした。


 こうして戦場ではない場所で、その恨みを晴らそうとするほどに。




「面白いことをしている」


 そんな深い憎悪に釣られたのか。


 はたまた、自分を庇うために出てきたのか。


 先ほどまで静かに場を静観していた、一際目立つ金髪の大男が割って入ってきました。


われも、この騒ぎに混ぜろ」

「……お?」


 その男は背丈2mあろうかという巨漢で、熊のように毛深い静かな声の男でした。


 上半身裸で体中に古傷があり、左腕から先を失っていますが、全身から凄まじい威圧感を放っています。


「ふん」


 彼は整えられていない金髪の隙間から、鋭い目で自分を睨みつけました。


「アンタもこの村出身だったのか!」

「会えて光栄だぜ、英雄!」

「よしてくれ。吾はもう、ただの村人だ」


 その男と目があった瞬間、身の毛がよだったのを覚えています。


 自分は彼を、何処かで見たことが有りました。


 そう。あの金色の兵士の名は、確か……



「……雷槍鬼カミキリ

「あ?」



 そう。西部戦線の時、ガーバック小隊長が仕留めそこなったと喚いていたサバト側のエース。


 雷を纏って突撃してくる、槍使いの兵士。




「何故、吾のその呼び名を知っている」

「……」

「貴様は、元オースティン兵か」



 彼は、憤怒と怨嗟の目で自分の方へ向き直ると。


 サバトの英雄エースは薄く唇を曲げ、獲物を見る目で自分を睨みつけました。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る