第34話4月20日

 今日は図書館に行って1日本を読む日だ。カトレアを召喚したときに本にも触れた話をしていたのに、こんなに先になるとは思わなかった。


 スイセンがそれぞれと同じ種族が書いた本を見つけ出して渡してくれた。俺が渡された本は契約主に関係する本が多いようだ。

 そうして読んでいくとガーベラは早々に眠ってしまう。クロユリも眠気眼だ。二人は本を読むのは苦手なのかもしれない。


 それにしても、この本に書いてある内容は酷いものだ。命名契約をした後、雇用契約をしたという者が書いたものなのだが。食事も服も与えず、仕事をすればその分だけお金を渡すというものだ。


 しかし、この仕事に対しての賃金が少ない。何をどうしたら、1日に一生懸命働いた対価が鉄貨数枚になるのだろうか。一食分すら満足に食べられないぞ。この本が書かれた時代では、貨幣の価値が違うのかとも思ったが残飯を食わせていたという記述があったのを見て読む気をなくした。


 俺は学園からの支給金は自分の分以外は皆の物だと思っているし、もし残飯を食べるなら自分だけ豪華な食事などにせず一緒に食べる。そう思いながら次の本に手をのばす。


 この本はどうやら、動物型の召喚獣と契約した者の書いた本のようだ。厳密には違うがナデシコやクロユリに対して何か参考になるかもしれない。


 しかし、この本も駄目だった。言うことを聞いたら誉める。これはまぁ分からなくもない。皆の場合は俺のやりたいこと、やってほしいことを察して先んじて行動してしまうが感謝を伝えるようにはしている。


 でも、その後が受け入れられない。言うことを聞かなかったり、出来なければ痛めつけるのだ。俺は何か反対されたときはなぜかを聞いて納得のいくように話をするし、出来ないなら出来ない理由を探して出来るようにする。どちらも皆の中から誰か、大体はカトレアが率先して解決に動いてくれるが。だからといって痛みを与えようなどと考えたことはない。


 この本にも見切りをつけたところで、ちょうどスイセンが次の本を渡してくれた。こうなることを察してくれたのだろう。ありがとう、と伝えると。んーん、と首を振られた。大したことはしていないという意思表示だろう。


 そうして、1日読んでいてそれぞれ得るものがあるようだった。

 ほとんど寝ていたガーベラも少しずつ読み進めて、何とか一冊読みきれたらしい。それが、とても参考になる内容だったとのことだ。


 俺の読んだ本はどれも、いかに召喚獣をうまく扱うかといった内容ばかりだった。スイセンはなぜ選んだのか。こうなってほしいと思っている、というわけではないと思いたい。どちらかと言えばこうはならないでと言われている気分だった。そう考えながら視線を向けると、頷かれた。


 俺の本当に参考になるような本はなかったのか?と視線に込めると首を振られた。もはや心を読まれているような気がするが、読まれて困るようなものでもない。

 俺はこれからも、彼女たちに相応しい契約主として。同時に伴侶として精進していこうと思う。

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