第3話 世間では……

世間では青春と呼ぶ

その日々を

一人虚しく過ごすかなしさ


 新型コロナウイルス感染症の拡大により、青春を奪われた若者は沢山いるんだ! かくゆうワタクシも、大学入学と同時にオンライン! ステイホーム! ヒキコモーリ! 返して! 返して! 返してよ、アタシの青春! ……と言ってみたところで、誰も助けてくれない世の中ですね。みんな自分の事で精一杯、時間がないからサ。

 若さというのはやっぱりとんでもない価値です。何をやっても「絵」になる。例えば、恋らしい恋ができるのは若い間だけでしょう? なに? いくつになったって恋はできる? そう思いたいところですが、自分だけ純粋でも相手がそうとは限らないし、何より、ピュアな中年というのは、実に不気味で醜いものじゃありませんか。見れたもんじゃないよ。若者の火遊びは青春ですが、大人の火遊びは犯罪ですもん、世間的には。だから、なにも経験しないままに青春を空費して、もういろんなものが許されなくなってくるのを感じると、寂しくて虚しくて泣きたくなります。わけもなく叫びたい、春よ来い! 春よ来い! そんな風にね。だけどワタクシの人生、これまで一度も春なんか無かったんだから、そろそろ冬しかない惑星に生まれたことに気付くべきですね。氷に閉ざされた海王星あたりの、醜いエイリアンの嘆きでございました。ギシャアアアアアア!

 終わり

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る