第24話
夕飯は4人で近くのファミレスで済ませて、銭湯に向かった。再集合した後に牛乳を飲んで、お酒を数本買って家に帰ってきた。
時刻は22時を過ぎていた。
秋也が「俺、オレンジジュース買ってくるわー」と、財布片手に家を飛び出そうとした。春希が慌てて、俺も行くなんて言うもんだから、私は焦って「私が行くよ!」なんて言ってしまった。すると春希はまたあの見透かした目で、「夏莉はふゆちゃんと休んでろよ〜」なんて言って出ていってしまった。
「もお……春希ってホント言う事聞かないって言うかさぁ!」
思いっきりソファに座る。右横には、ソファは座らず寄りかかって地面に座るふゆちゃん。はしゃぎ疲れか、なんなのか、小さな沈黙。沈黙すら心地が良いって、不思議だなあなんて考えている。ただ――そんな甘いことを考えてるのは私だけだと気づいたのは、ふゆちゃんの手の震えを見てからだった。
「ふゆちゃん、どうした――――」
「みんなに言いたいことがある。夏莉、言わせてくれるよね」
「なんで……」
「何回も言おうと思って頑張ったけどいつも、夏莉がその状況を回避するから」
「そんなことないよ」
「うん。知ってる。夏莉は何も知らないからね。でも春希はどうだろう」
「春希……?」
なんの話をされているのかわかりたくない。
怖い、またこの4人の関係が崩れることが。
せっかく集まれたのに、壊れるのが怖い。
「4人の関係……壊れるのやだよ」
「俺だって嫌だよ。でも……もう、そういう次元じゃないよ。もう壊れてるんだ」
「壊れてなんかない!!!!!!」
「ただいま……って、どした?」
リビングの扉から覗く2人が、不安げな顔をする。
「ふゆちゃんが……なんか、話したいって」
「ん?俺らも含めて?」
「うん、春希も秋也も夏莉も、聞いて欲しい」
ふゆちゃんの目はいつになく真っ直ぐだった。進路に迷い絶望していたあの目とは、正反対だった。
「みんな座って」
そう促されると、私は立ち上がって冷蔵庫からお酒を取った。それぞれみんな、自分の好きな飲み物を手元に置いて、大人しく座った。
「これから俺は、俺が高一から五年間隠してきた想いを明かす。そして、春希……お前も、知ってる事は全部話してほしい。秋也も夏莉も、隠してることがあるなら、全部話してしまおう。今日で、清算したい。」
「五年越しってとこか……」
「隠してることなんて―――」
「あるだろ、夏莉。」
春希のあの目で、私の嘘なんて通用しないのを理解する。
「っ……大体、秋也はあるの?」
「隠してることは……あ、あるかなぁ」
「秋也も、あるだろ。わかるよ、俺。」
「わかってるんだ……」
「ならちょうどいいな。4人、俺からはじめて、全員思いの丈を明かそう。そして先に進もう。」
「明かして……先に進めるの?」
「どうだろうな、ふゆちゃん、そこは俺も無理だと思うけど」
「……色んな意味でだよ。4人って形じゃなくて、個人で」
「俺たちバラバラになるってこと!?」
「秋也声でかいよ……」
「ごめん……でも!」
「それは俺たち次第でしょ」
春希のその言葉に、全員が息を飲む。
「……じゃあ、俺の話。しようか。」
そうして、五年越しの告白が始まった。
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