第一章
第1話
真っ暗な部屋で訳もなく涙を流し、フローリングに横たわれば、冷たい床の気持ち良さと涙の不快感に襲われる。
そんな毎日を送っていた。
今年で21歳…だけど、今年は休学していたので来年度も大学2年生。この時代の大学は意外とシビアで、心の弱い人には優しくない。
夏のようにみんなを照らす人になってほしい、という理由で込められたこの名前も、まるで夏のゲリラ豪雨のような暗さを持つ私には似合わない。
そして、生きるのは本当につまらない。
人に合わせて笑うのも、無理して頑張るのも、全部疲れた。いつも他人の顔色を伺って、自分を隠して……沈んでいく。
春休み期間、毎日家にいると死にたくなる。
そんな、つまらなくて死にたい毎日を送る私が唯一支えにしてるのは、高校の頃の楽しい記憶だった。戻りたいと思う気持ちもあるが、それ以上に思い出していて楽しい。みんなでふざけてた日々の動画を見れば、まだ生きようって思えるんだ。
2019年5月
生徒数の少ない高校……のはずが、入学後一ヶ月しても友達ができなかった。
唯一の友達といえば、
顔は整っているのに、自分は陰キャだから……とか言って、誰とも関わろうとしない奴だった。席が隣になったのをきっかけに、急速に仲良くなった。2人で話すことが多く、付き合ってると噂されることは多かった。
そんな噂すら気にせず、私と秋也は毎日を笑顔で過ごしていた。学校終わった後はすぐラーメン屋に向かい、ゲーセンで音ゲーして帰る。そんな毎日の繰り返しが、凄く楽しかった。最初からお互い異性として意識することもなく、恋愛感情もなかった。
そんな私達が5月のBBQ大会で狙っていたのは、同じく2人組で仲良くしてる男子だった。少ししか話したことはなかったけれど、確実に仲良くなりたいと思うほど、運命を感じるほどの2人だった。
「ね、食べない?」
「もらおっかな」
「…圭原くんってさ、よくアニメとかゲームの話してるじゃん?なんのゲームしてんの?」
「ん?スプラトゥーンとかスマブラ……」
「てか待って、焼肉にポン酢かけるタイプ!?」
「いや本当は焼肉のタレ欲しかったんだけど、向こうにあるじゃん」
「うーわホントだ!取ってくるわ!」
「マジで助かる」
この会話がきっかけで、圭原
「ふゆちゃん。おはよ!!」
「…………っす」
春希と仲良しだった
名前に冬がはいってるだけあって、あんまり読めないクールな子。静かで、でも面白くて……そんな不思議な子だった。
そうして私と秋也だけだった生活は、気がつけば春希、夏莉、秋也、真冬の4人で過ごすようになっていった。担任からは春夏秋冬と呼ばれ、「確かに〜」なんて笑う日々。
帰りは大体カラオケかラーメン!
休日には焼肉食べ放題に行って、そっからカラオケ。胃がパンパンで一言も発せない人達を横目に、胃薬飲んで対策してた私はノリノリで女々しくてを歌っていた。
こんな日々が毎日続けば幸せだと、心の底から思っていた。帰り道、夕日の照らす道路に4人の影が写っていた。その瞬間、願ったんだ。この光景がいつまでも続きますように、って。
神様は願いを叶えてくれたのか、その後の3年間もずっと4人でいた。ある日は春希の家に遊びに行き、またある日は秋也の家に遊びに行った。やることは毎回スマブラで、お菓子食べて、笑って、笑って……そんな、当時は思えていなかったけれども、今考えれば最高の青春だった。
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