第4話 瞳を開ければ青かった①
世界についての考察。
ここに来る前、世界を見て回っていた。体力も限界、意識も朦朧としている中で、しかし視界だけははっきりと、その現状を捉えていた。
コンクリートやアスファルト、合成樹脂に金属片。それらは全て、形として成立しておらず、欠片として散乱していた。
他に動物は見かけない。時折植物は見かけるが、名も生体も知らないモノだ。
ここは、自分の知る世界ではなくなっていた。いや、そもそも世界を元から知らなかった。記憶に残っているものと違うと、この場合は直した方が正しいだろう。
夢でも見ている。幻覚でも魅せられている。そのような可能性があるにはあったが、しかしどれだけ時間を経てもその現実が消えることは無かった。
荒廃した道路を、ただ黙って歩く。空間を埋める青い色彩が、まるで水の中にいるかのように錯覚させる。
時が止まったようだった。静かで、何も変化は無い。つまらない、とは思えない。暇だとも思えない。
ただ苦しかった。
腹も減り、虚無のみが広がるこの空間を、もう見たくなかったのだ。
闇。
先が見えなかった。未来も、辿るべき順路も。何もかも。
だから。そんな極限の状態で彼女たちの姿を見つけられたのは、奇跡だと言うより他無かった。
必死に追いかけた。体力もろくに残っていない状態だったが、幸い彼女たちが辿り着いた先は、そう遠いものでは無かった。
青い衣を抜けその丘が眼前に広がった時、そこで意識は途絶えた。
そうして今、この世界に対しての予想は、確信へと変わった。
世界は、いや。
海と空は、その役目を入れ替えていた。
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