第26話

 夢の中で、僕は血だまりの中に立っていた。

 人を殺した後の夢だった。

 靴に熱い血が染みこむ感覚が妙にリアルだ。そんな中、人を斬り殺した日本刀の刃を眺めている。刃には、人の血肉、髪の毛がべっとりとこびり付き、もとの鏡のような美しさは失われていた。いや、持ち出した時の刃は錆びていたからな。この鈍らで、人の肉を叩き潰したのだ。

 不意に、べちゃり…と、血が跳ねる音が聞こえた。

 音の方を見ると、二十代くらいの若い女が、血まみれ傷だらけで、小便を流しながらも逃げおおせようと床を這っているのがわかった。その腕には、四歳くらいの女の子を抱えていた。

 僕は日本刀にこびりついた血肉を指で拭うと、パシャンッ! と血を跳ねさせて立ち上がった。這っている女に近づき、そして、刀を振り上げた。

 あ…、女が死ぬ、

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