3-6「青の派閥」

 一通り捜査を終えて、佑心、一条、心、そして原と川副は大通りのファミレスに入っていた。



 「こっちも収穫なーし。最初の事件現場近くで聞き込みしたけど、やっぱり皆何も分からないって。警察署には追い払われたし」



 原がだらりと椅子に背を預けて面倒そうに言った。



 「それは奏海さんがすごい勢いで警察に怒鳴り込んだからでしょう?」


 「だってー!」


 「とにかく、手がかりがいるわ」



 一条は顎に手を当てた。



 「じゃあ、一番最近の事件現場に行ってみよう。警察が見つけてないことでも、パージャーには何か分かるかも」


 「そうだね。確かここから近かったし」



 佑心の提案に心も同意した。

 普通の一軒家である事件現場を前にして警察から話を聞くことになり、警察は立ち入りを許可する文書をまじまじと眺めていた。



 「確かに許可は出てるね……でも君たち、中は事件当時のままになってるから。トラウマになった警官もいたし、気をつけて」



 原と川副がどきりとして、川副に至っては目をつむってびくついていた。佑心は玄関の扉に手をかけて振り返った。



 「俺と舜だけで行くから、待ってろ。行くぞ、舜」



 佑心が心を見ると、小動物のように震えていた。佑心は半分呆れて肩を落とした。



 「お前もかよ……頑張れ舜。行くぞー」



 心の首根っこを掴んで引っ張るように進んでいったが、住宅に入る直前で一条が割り込んだ。



 「私、平気だから」



 それを聞いて、原は後ろでキーっと頭に血を昇らせていた。



 「くーっ、一条……わ、私も入る!」


 「あっ」



 川副は入っていく原を止めようとしたが、伸ばしかけた手を引っ込めた。最後に入った佑心には悔しそうな川副の表情が扉の隙間から見えた。

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