4-2「大いなる力」
川副と原、佑心が河川敷に腰を下ろしたが、半分はほうけていた。一条と心は川沿いの道から皆に話しかけた。
「じゃ、私と舜はPGO事務局から迎えの車呼ぶから待ってて」
「私も船津さんに電話してくる」
原が携帯を持って立ち上がったので、佑心と川副だけが残された。佑心の少し遠くに座る川副は明らかに気を落としていた。
(はあー……私、役立たずだな……)
「よっと!」
「えっ?」
川副の隣にドサッと佑心が座りこみ、川副は驚いて顔を上げた。佑心はにこっと川副に笑いかける。
「川副、ちょっと俺の相談聞いてくれよ」
「え!え、うん。何?」
「ありがと。……俺さ、まだPGO入って一ヶ月だから、パージの仕方も捜査の仕方も全然分からないながらって感じでさ、色々考えちゃって。舜とか川副は初任務のときとか上手くやってたんだろうなーとか」
川副はそれまでの憂鬱を取っ払ってくすくす笑いだした。
「ううん、そんなことないよ。私がここでやっていけてるのは青の派閥の皆のおかげ。右も左も分からない私を奏海さんや船津さんがずっと面倒見てくれて。佑心君にも一条さんと舜君がいるから、きっと大丈夫だよ!」
川副は満面の笑みで笑いかける。
「ふっ、そうだよな!俺、心配しすぎだったかも。PGOには仲間がいるんだ。川副、ありがとな!」
佑心は笑顔で立ち上がった。
「だから川副も、いつでも俺たちを頼ってくれよ。お互いに補って支える、そのためのチームだろ?」
「う、うん……」
川副は驚きつつも、小さく頷いた。
「皆ー、もうすぐで迎え来るから集合場所まで移動しましょ」
「私もちょうどリーダーに報告終わったわ」
一条と心、そして原が二人の後ろから声をかけた。
「ああ!行こうぜ」
「うん」
威勢のいい返事をして、川副に手を差し伸べた。川副はゆっくりとその手を取りった。
太陽の落ちた道を歩いて行く四人の後ろ姿を眺めながら、川副は佑心の言葉を繰り返した。
(補うためのチーム、か……ふふっ……)
佑心はちらと振り返って川副の笑顔を視界に入れた。
事務局の職員が運転する青い車の後部座席に原と川副が乗りこみ、さらに後ろの後部座席に残りの三人が乗りこんだ。
「結局ゴーストも犯人も見つけられなかったね」
「全く進展がなかった訳じゃないし、大丈夫よ」
「また明日もここに……っ!」
言いかけた時、佑心の脳に警戒音が鳴り響いた。
(何だこの雰囲気……昼に感じたゴーストの気配よりはるかに……!)
「佑心、ちょっと!今度は何なの!」
駆けだした佑心に一条が呼びかけた。その声を聞いて車の中にいた心も外を覗いた。
佑心は一心不乱に走った。
(こっちに何かいる……ゴーストより強い何か……何だ?)
どんどん表通りを走った。
(ここだっ!)
キキッと急ブレーキをかけて、細い道で止まった。暗く続く道の真ん中に黒いコートを着た男が佇んでいた。佑心にはこの男こそが気配の正体だと、荒い息の中で確信した。体中があぶないと叫んでいた。
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