また
「社長」
「ぜんぶ終わった」
『
寝台に寝かされていた
どうしてか、身体の上に岩が乗せられたかのように身動きがあまりとれなかったのである。
「おまえを狙っていた暗殺者の
「あの。やはり、母ペガサスと約束をしていた方だったのですか?」
「いいや。何か、おまえが会社で働いていた時に、話す機会があったんだけど、気に食わない事があって、軽い気持ちで殺すって思っていたらしい。どうも、
「そうですか。それは。今の私は覚えていないので、何とも言えないのですが、私がとても失礼な態度を取っていたのかもしれません。謝罪して、話を聞きたいのですが、可能でしょうか?」
「おまえ。自分を身勝手に身軽に殺そうとしてたやつと話したいか?顔を合わせたいか?」
「ええ」
「そうか。だが、警察には会えないと言われている。他の奴にも色々と罪を犯していたらしい。おまえは、大勢の内の一人だったってわけだ。そんな命を何とも思ってない愉快犯に会ったって無駄だ。ただちょっと気に食わなかったから殺そうとしました~って、笑いながら言われるのがオチだ。会うな、会うな。気分が悪くなるだけだ」
「そうですか………社長はまだ呪いは解けていないのですね」
「ああ。今回の件と、俺の記憶喪失は関係なかったらしい。このヘルメットもな」
「そうですか。では、私の会社に関する記憶の喪失も、他に要因があるというわけですか?」
「俺が蘇生する際に、何か、へまを犯した可能性もある。だから、早く俺は俺の記憶を取り戻して、おまえを完全に蘇生し直す。だから。よ。おまえ。このまま俺の記憶を取り戻す旅に同行してくれないか?」
ぱちくり。
「いえ、そもそも私を蘇生する代償が、社長の旅の同行でしたよね。今更お願いしなくても、私は社長についていきますよ」
「いや。それは。そうなんだけれどもよ。いや。よくよく考えると、最悪じゃね。俺って。無償で蘇生しろよってな。な?」
「いえ、それは、別に、最悪ではないのではありませんか?何事にも対価は必要ですし」
「それは。そうなんだけれどもよ」
どうにも歯切れの悪い
「社長。私に何か隠し事があるのですか?」
「え?いや。ないけど。ただ。突然。俺ってひどくねって思っただけで。こんなひどい俺だけど旅に同行してくださいって、お願いしたくなっただけだけど」
「社長はひどくないですよ。私の事を案じて下さっています。ありがとうございます。私、何の役にも立たないかもしれませんが、社長の記憶を取り戻せるように、微力ながらお助けしたいと思っています」
「え。あ。うん」
「感動じゃあ!」
扉にへばりついて聞き耳を立てていたのだろう。
ずんずんずんずん。
勢いを殺さずに、
あれデジャブ。
「わしも一緒に旅をするので安心しろ。今回の事件をすぐに解決できたように、おまえたちの異変もすぐに解決してみせるわい!」
「今回は本当に助かった。ありがとうございます」
「あ。ありがとうございます」
本物の
「うむうむ。まだ疲れておるだろう。ゆっくり休むがよい。
「へ~い。じゃあ、
「え?でも、社長もお休みになった方がいいのではないですか?暗殺者と戦ったのでしょう?」
「いやいや。戦ったのは、
「そう、ですか」
「そうそう。じゃ。またな。メシの時間に来るから」
「はい。わかりました。
「うむ。ではまたのう」
ひらひら。
手を振った
「言わんかったのか?」
「言わねえよ。ペガサスが殺されたなんて。あいつ。すんげえ、ペガサスと一緒に旅をする事を楽しみにしてたんだぞ。知ったら、絶望して自殺する可能性もある」
「だが、いつかは」
「ああ。わかってるよ」
「………物騒な事は考えるでないぞ」
「………わかってるよ」
「
「ああ。またおいで」
「はい」
一週間後。
時々、
「
「ちゃんと
「ああ」
「あんたも。無理はしないように」
「ああ。また来るわ。今度は記憶を取り戻した状態でな」
「ああ。楽しみにしている。
「合点承知の助じゃ。
「誰に言ってんだい?」
「ふふ。じゃあ、またの」
「ああ。三人とも、気を付けて行くんだよ」
「「「はい」」」
「行ってらっしゃい」
「「「行ってきます」」」
(2024.6.14)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます