ぜんぶ
『
「絶対に赦さない。あいつだけは。絶対に。あいつさえ居なければ、今頃、ペガサスは、私と一緒に旅をしていたのよ。私が先だったの。約束したのは。私が。母ペガサスと約束したのよ。私と母ペガサスはとっても仲良しだったから。だから、母ペガサスもこどもを、ペガサスを私に託してくれたのよ。託すって約束してくれたの。それを。あいつが。私が見ていない隙に何度も何度も訪れて、ペガサスを誑かし続けたの。母ペガサスもよ。あいつに誑かされた。あいつが悪いの。ペガサスは悪くない。母ペガサスもよ。私は、何度も何度も、ペガサスを正気に戻そうと頑張ったわ。母ペガサスに説得してくれって頼んだわ。でも、ペガサスの意思を尊重したいって、ごめんなさいって、何度も何度も謝られたわ。あいつが悪い。ペガサスは悪くない。あいつじゃなくて、私と一緒に旅行に行こうって。誘い続けたわ。でも。ペガサスは首を縦に振ってくれなかった。私は根気強くペガサスに話しかけ続けたわ。優しくし続けたわ。でも。それでも。ペガサスはあいつがいいって言ったわ。だから。あいつが悪いのよ。ぜんぶ、ぜんぶぜんぶ。あいつが悪いの。ぜんぶ」
ペガサスが死んだのも。
私がペガサスを殺したのも。
ぜんぶ、ぜんぶぜんぶ。
あいつの所為。
(2024.6.14)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます