嫌だ
『
もしかしたら。
もしかしたら、このまま徐々に記憶がなくなっていき、いつかは完全に消滅するのではないだろうか。
(嫌だ)
嫌だ。
嫌だ。
嫌だ。
他者から見れば、何か大きな成功を成し遂げたわけではなく、日々こつこつと、学業をこなし、職業をこなして来た、恋をしていなければ、遊んでもいない、つまらない人生だと思われるかもしれない。
人生の転換期と言えるのは、ペガサスに一目惚れして、そのペガサスと一緒に旅をするという夢を持てた、このただ一度きりだけだ。
だが果たしてこの転換期を、否、この転換期がなかったとしても、だ。
今までの記憶は消滅してもいいなどと微塵も思わない。
大切な己を形成する記憶である。
その唯一無二の記憶が消滅などしたら、
(私は、私を、失ってしまう)
嫌だ、
嫌だ嫌だ嫌だ。
「
「社長」
何の役職にも就いていない万年平社員だったので、社長である
だが、それなのに、どうして。
「大丈夫だ。俺が全部まるっと解決してやっから」
「社長」
「そうだ!そしてわしも居る!」
扉にへばりついて聞き耳を立てていたのだろう。
ずんずんずんずん。
勢いを殺さずに、
「いやいや。無理でしょ。それは」
「なにをう!わしを誰だと心得る!わしは自衛組の一人「じゃないでしょうが」
「おまえ。
(2024.6.13)
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