動悸
『
「自分で何とかしろとはどういう意味ですか?」
「あ~。だから~。俺って、すんごい社長であると同時に、すんごい魔法使いだったみたいでさあ。社長の能力とか伝手とか、魔法使いの能力とか伝手とか、色々な実力を発揮して、警察の未解決事件とかの解決にも一役買ってたみたいで。今回の花束爆発事件で、記憶を失くしたって言ったんだけど、記憶を失くしてようが何だろうが、あなたの実力になんの陰りが生まれようか否、生まれない、警察は人手不足なので、自分で解決してくださいって、滂沱と涙を流されてさあ。だから、今回の犯人捜しも、自分たちの守護も、記憶を取り戻す、呪いを解くのも、自分たちで何とかしないといけないわけ」
「それは。あまりに、無責任すぎませんか?」
「まあね。でもしょうがないよね」
「会社、『もっるい』で働いていた人たちの中に魔法使いも居ましたよね」
「花束爆発事件があってからみんな居なくなったし、記録も残っていなかった」
「え?」
「そんで、『もっるい』は同じ藻類産業の会社に吸収合併されてて、俺は勇退している事になってた」
「え?え?つまり。えっと。その『もっるい』を吸収合併した会社の社長が犯人なのではないですか?」
「う~ん~。まあ、候補者の一人にはなるだろうけど。でも、実際に俺が譲ったみたいなんだよね~」
「覚えているんですか?」
「断片的にね」
「………社長」
「ん?」
「私も、『もっるい』で働いていたみんなの事を、いえ、会社で働いてきた中で関わった人たちとの記憶がなくなった、みたいなのですが」
「まーじーかー」
「はい」
顔を蒼褪めさせた
(2024.6.13)
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