第31話 新しいダンジョン
グリーン・バレーでの慣らしが終わり、今日からもうひとつレベルの高いダンジョンへと入る。
その名は【マグマ・レイク】――名前の由来はダンジョン内に存在する真っ赤な地底湖からきている。
マグマという大層な名前がつけられてはいるものの、実際は溶岩というわけではなく温泉に近いらしい。グリーン・バレーよりも規模は大きく、出現するモンスターも手強いと聞く。
ただ、その赤い温泉の回復効果は相当なもののようで、なんとダンジョン内部に宿屋まで造ってしまったという。
安全性はバッチリらしいが、正直ちょっと怖さはあるな。
――で、その話をしたらみんな温泉に入りたいと言いだした。
「ダンジョン温泉……風情がありますね!」
「入ってみたい!」
「私も……」
ミレインもトーラもメルファも瞳をキラキラと輝かせながら叫んでいた。
ダンジョン探索のモチベーションアップとしての効果は絶大だな。
グリーン・バレーよりも強いモンスターが出るという情報を知っても、彼女たちは臆するどころかむしろいきいきとしている。
まあ、さすがにあっちのダンジョンのモンスターが弱すぎるというのもあったのだが、自信を持っているというのはいいことだ。本来の力を発揮するために一番必要な要素だからな。
さて、そのマグマ・レイクだが……モンスターとか以前にダンジョン内の温度がめちゃくちゃ高かった。
事前にそういう情報は入手していたので対策を講じてはいたが、これは想像以上だ。
「みんな、体調に変化を感じたらすぐに教えてくれ」
「今のところは特に……メルファは?」
「平気」
「あたしのことは聞いてくれないのかよぉ!」
「トーラはずっと元気だからねぇ」
……トーラには悪いが、俺もミレインと同意見だった。
この状況で一番消耗しそうなのは最年少のメルファだろう。
だが、そのメルファも至って健康だった。
目的地であるダンジョン宿屋へ向かうため、俺たちはモンスターを倒しながら着実に前進していく。
ちなみに今回のクエストでは一角マグマトカゲというモンスターを倒し、そいつの角を持ち帰ることが達成条件となっている。
今のところそいつは見つかっていない。
ライソンからの情報によると、例のダンジョン宿近くに出没らしい。
本当にそんなところで宿をやって大丈夫なのかって不安もあるが……同時にちょっと楽しみでもある。
さて、ボチボチその宿が見えてくる頃だな。
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