3いっしょにたべよ

 あくまくんとてんしちゃんは初等部にあがった。 

「いやがらせだ。」

「どうしたの?あくまくん。」

「ぼくはにんじんがきらい。だからきゅうしょくのひとににんじんいれないでっていったのに、おおきくなれないよって、ばいにしていれられた。」

「おやさいはからだにいいんだよ。きゅうしょくのひとのやさしさだよ。」

「むりじいはよくないなあ。ちがう?てんしちゃん。」

「うーん?」

「こんなことならアレルギーだっていえばよかった。」

「にんじんにがてでざんねんだね。わたしはだいすき。にんじんずきのうさぎさんとおともだち。」

「そーだよ、にんじんなんてどうぶつのたべものだよ。にんげんがたべなくてもいーんだ。はいてんしちゃん、ぼくのぶんぜんぶあげる。すきなんでしょ。」

「ありがとうー。ほんとうにざんねんだね、いっしょににんじんたべられなくて。」

てんしちゃん、やわらかい笑顔でうれしそーうに、おいしそーう、に食べる。

あくまくん、いっしゅんのどをのみこむ。

「てんしちゃん!やっぱりたべる!」

そう言ってあくまくんてんしちゃんのプレートのにんじんをとりあげてぱくり、たべる。「・・・・・・、」

大変難しい顔をするあくまくん。

「てんしちゃん、およめさんになったらおりょうりににんじんいれないでね。それで、それをいっしょにたべようね。」

てんしちゃんの笑顔バイアスにつられて食べたけど、苦手なものはやっぱり苦手なあくまくんだった。

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