第46話

 お姉ちゃんを見るといつも胸が張り裂けそうになる。外出中は眼帯をしていたりするからあれだけど、自室にいたりする時は外しているみたいで、たまに見る姉の目は壊れていて悲しくなってしまう。


 片目にハイライトが全くないんだ。ベタ目になっている。

 同時に私がいなければこんなことは起きなかったんじゃないかって葛藤が襲う。

きっとみんなそんなことないって言うけど、私のせいで…わ、たし……が……


 やっぱりもう、死ぬべきなのかな。


 ※ ※ ※

 その日の夜。


「……と、ちょっといいかな?」

「……!」


 誰かの声に呼ばれて目を覚ました。のはいいものの、まだ外は暗く、夜が明けた様子はない。あぁ、ゲームをしていてうたた寝しちゃったな。あれ、私の部屋の椅子に誰かが座っている。私を起こしたのはこのひ……

「ひっ!」

つい声を上げてしまった。


それは、私だったから。


「わ、わ、まさか宵咲さん?」

「そうよ。久しぶりね」軽く会釈をする私。

「私、今……」近々報告をしようとして遮られる。

「言わなくていいわ。全て見てて知ってるから」

「そうでした」

「今日はあなたに伝えたいことがあるの」

「伝えたいこと?」

「ええ、翠さん」

「なんでしょうか?」

「あなたは近いうちに3つの輝きが失われる瞬間に立ち会うことになる」

「えっ」

「だからせめて、は……いえ、その人達を私みたいにならないように最期まで導いてあげて」

「私が……導く?」また言われた。導けと。華さんをまだ導けていないのに。

「そうよ。頼んだわ。翠さん……」

そう言う彼女の目には涙が浮かんでいた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

翡翠の居場所 諏訪彼方 @suwakanata

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画