第2話
お母さんに連れられてお姉ちゃんは病室からいなくなった。
数分後、大粒の涙を流したお姉ちゃんが再びやってきて、私を抱きしめた。
「……」
「……どうしてなの……?どうして誰よりも大切な翠がどうして……」
「ごめん……」
「諦めないで。絶対助けるから。命にかえても翠を助けるから……お姉ちゃんがなんとかしてあげるだからっ……」
この先の言葉が言葉にならない。けど、お姉ちゃんが言おうとしている言葉はよく分かる。
きっとこう言う。
「死んじゃ嫌だ」と。
私はただ、抱きしめられるがまま、今置かれたことにちょっとずつ恨むようになった。お門違い、なのかもしれない。けど、そうでもしなきゃ、大好きなお姉ちゃんに辛く当たるようになって余計に悲しませてしまう気がするから。
自分を、過去の自分をひたすら恨む。
何かをちょっとでも違うことをしていたら今こうならなかったんじゃないかって。
遠吠えにしかならない叫びを私は心の奥であげていた。
※ ※ ※
眠ってしまったのか、目が覚めると既に外は暗くなっていて、お母さんたちの姿は無くなっていた。この場所には時計がないから、今の時刻が分からない。
お手洗いに行こうとベッドから出ようとした時、急に目の前が真っ白になって、意識が飛びそうになった。そんな中、必死に看護師さんを呼ぶボタンを押そうと手探りで探り、幸運なことに押せた。
その瞬間、私の意識は無くなった。病室の床に私は倒れてしまった。
結局、駆けつけた看護師さんたちによる処置で事なきをえたようだ。目覚めてから聞いたことだけど。
これが通算2度目のこと。学校でこうなってしまったから私は病院に運ばれて、運命を知った。そうだ。
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