第1話
よくドラマで聞くあの機械音によって私は目覚めた。酸素マスクをつけられていて、腕には点滴がつなげられている。ここで、やっと私が置かれている状況に気づいた。
私は今、病院にいると。
私が目覚めたことに気がつくと、お母さんと妹は安堵の表情を浮かべた。妹に関しては、大粒の涙を流していた。
「お姉ちゃん!目覚めたの?気分はどう?頭痛いとかない?」
「ん……大丈夫。」
「ちょっと看護師さん呼んでくるね。」
「うん、わかった」
お母さんと妹は病室を出て行った。
数分後、お母さん達は何人かの看護師さんやお医者さんを連れてきた。私はすぐに嫌な予感を感じた。もちろん、その予感は正しかった。
「あなたにはしばらく入院してもらいます。退院はいつになるかはわかりませんが、なるべく早くそういう日が来るように善処します。」
入院…?検査とかかな?でもなんの……?
「あなたは……」と言われたのは漢字ばかりの病名と、治る見込みがないこと。あと大体どれくらいで私は死んじゃうのか。
聞いて驚きはなかった。ここに来る直前?の記憶はないけど、ここに気づいたらいた時点で何かを察するには十分だった。
「今日から一緒に頑張りましょう」
「気持ちを強く持って」
というお医者さんや看護師さんの言葉にどう答えたのか、覚えていない。ただ、私が答えを言ってお母さんまで泣き出してしまった。私がお母さんを泣かせてしまったという事実だけは分かった。
※ ※ ※
一時間くらいして、お姉ちゃんがやってきた。それと入れ替わるようにお医者さんたちはいなくなった。外は明るい。けど、お姉ちゃんの顔は暗い。涙を流して、私を怯えた目で見る。
「翠!」
「お姉ちゃん……来てくれたの?」
「あなたが倒れたって聞いて……」
「そっか…ありがと」
「翠…ダメだからね、あなたは私の大切な妹なんだから……」
「んーん、ごめんね…」
「そんなこと言わないで……あなたのために私はなんでもするから…だから、だから諦めないでっ……」
「ありがと」
私はなんのために生まれた?なんのためにこうして生きてるの?
終わる未来は変わらない。なら、私が私であるうちに、私が生まれてきた意味を見つけなきゃいけないみたいだ。
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