メィとシャルの逃避行?!
・フロイデの情報収集のため、シャルは占い師に変装して聞きこみ調査を続けていた。そんなある日、占い小屋にメィが訪れる。
メィ「ごきげんよう。普段はわたくし、占いよりも自分の直感を信じる口なんですけど。至急占ってほしいことがございますの」
シャル「ほう。それはどんな?」
メィ「追っ手がどちらの方角からやって来るか占ってくださる?」
・良心に逆らえなくなったシャルは、自身の顔をおおうローブを外す。
シャル「それって緊急事態じゃないですかぁ?!」
メィ「きゃー!!あなた、シャルでしたのね?!とにかく占いなさいよ!神様だったらそれくらい容易いことではなくて?!」
シャル「ひぃっ、わ、わかりましたぁ!ウンタラカンタラ〜〜はっ!見えました!ズバリ北東の方角ですぅ!」
メィ「助かりますわ!シャル、お供しなさい!しばらくの間占ってもらうわよ!」
シャル「ひえぇぇぇ」
・今回の騒動は、セキの素行について一人のボディガードから苦言を呈されたことが発端だという。放っておいてとメィは再三伝えたが、ボディガードはメィとセキが釣り合わないと言って聞かなかった。二人のケンカにシャルは巻きこまれてしまったのだ。
メィ「わたくしの言い分をわかってくれないのならと、この度家出を決意したのです!否定されればされるほど、恋の炎は燃え上がっていくものですわ!」
・走り続けて疲れてしまったメィは、シャルとともに近くの公園で一休みする。
シャル「メィおねえちゃん♡アイスが食べたいですぅ♡」
メィ「ううっ……そんなキラキラした目で頼まれたら断れませんわ。とりあえず店にある全てのアイスを買い占めましたから、好きな味を選びなさい」
シャル「ええっ!いいんですかぁ?!」
メィ「巻きこんでしまったお詫びですわ。はぁ〜セキさまからの愛もお金で買収できれば良かったのにぃ」
・メィとシャルは公園のベンチに座りアイスを楽しむ。そんな二人の前に一人のボディガードが現れる。相手に怪しまれないよう、メィとシャルはテレパシーで会話をする。
メィ「どうしてわたくしの居場所がわかったんですの?!」
ボディガード「ゴールドカードの利用通知ですよ。こんなこともあろうかと、お嬢さまがカードを使ったら僕のスマホに通知が来るよう設定しておいたんです」
シャル『なんですって……お店でカードを使っていなければこんなことには……ッ!』
メィ『でもわたくし、現金なんて一度も触れたことありませんわ』
シャル『あらら〜詰んでますねぇ』
・明家のボディガードはキョンシーのような丸い黒帽子をかぶり、顔は一枚の麻布で隠されている。そのため端から見てもボディガードは大人であることしかわからないのだが、今回の彼は違った。声変わりを迎えておらず背丈はメィと同じくらいだ。実はこのボディガード、メィと同い年である。彼の母がメィの家庭教師をしているよしみで、明家は彼を直属のボディガードとして雇っているのだ。
メィ『彼がセキさまを悪く言うんですの。彼のことは見習いボディガード、とでもお呼びになってくださいまし』
シャル「見習い!ボクとおそろいですね〜ってそうでしたぁ、彼にボクの声は聞こえないんでした」
見習い ボディガード「お嬢さま、屋敷へお戻りください」
メィ「絶対イヤですわ!」
見習いボディガード「これ以上抵抗するなら、引きずってでも連れて帰ることになりますけど」
・見習いボディガードは両腕を上げる。そのまま脚を開くと同時に掲げた拳を打ち下ろす。中国拳法の構えのポーズだ。
メィ「受けて立ちますわ」
見習いボディガード「ほう。ぜひお手合わせ願います」
シャル(アイスおいしいですぅ〜)
・白い噴水をバックに、メィと見習いボディガードがにらみ合う。一触即発の状況で、店のアイスが売り切れてしまったことを知り大泣きする子どもの声がメィたちの耳に届く。その感情にフロイデがとり憑き、巨大なアイス型の怪物へと姿を変えた。
シャル「また憂の仕業ですかぁ?!こわいです、こわいですけどぉ、ボクがしっかりしないと……よし!メィおねえちゃん!ボクと変身してください!」
メィ「お断りしますわ!」
シャル「ひゃん!」
メィ「これはわたくしが招いたこと。それならばわたくし自身の力でけりをつけたいですわ。見習いボディガード、お供なさい!」
・両手を空にかざすと、メィの身体が光に包まれていく。チャイナ服を模したパワードスーツをまたたく間に着用したメィは、かけ声とともに握りしめた拳を前へつき出した。なんの前触れもなく現れた怪物に見習いボディガードは戸惑うものの、メィの身の安全を確保することが最優先だ。二人はカンフー技を交互にくり出し、怪物を完膚なきまでにしてしまう。
憂「憎しみの魔女、撤退するぞ」
魔女「ならぬ。まだ決着はついておらん」
憂「今から立て直したとしても倒せるのはたった三人。それならば後日、敵の集まったところを襲撃する方が効率的だ」
魔女「ほう。一理あるのう」
・今回フロイデを送りこんだ黒幕は憎しみの魔女だった。メィたちに気づかれないうちに憂が魔女をアジトに連れ帰ると、フロイデの怪物も姿を消した。メィと見習いガードマンは公園を訪れた人々から拍手喝采を受ける。
メィ「おほほほほ、最高の気分ですわ!公園にいるみなさんもご一緒にアイスを召し上がりませんこと?」
シャル「わ〜い!みんなと食べたらもっとおいしくなるですぅ!」
メィ「う〜ん、おいしい!がんばった後にいただくアイスは格別ですわ!」
・メィの清々しい笑顔から見習いボディガードは悟る。メィを案じての発言とはいえ、頭ごなしに否定してもメィは納得しないのだと。メィの行く末を見守ることこそがボディガードの使命なのだと。心から応援する気にはなれなかったが、メィの家出以降見習いボディガードがメィの恋路に口を出すことはなくなった。
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