8「4/13」

早速、やらかした。

だから、固定電話で大地にメッセージを送る。


「※4※401」


すると。


「※4※406」


と返ってきた。


「は?」


大地の部屋を見ると、カーテンが閉められている。

家で何かあったのか?

それとも、違う場所?


今までの直感で、占い喫茶に来ていた。

占い喫茶から出て来るのは、大地と男性が一人いた。

男性は、大地の肩から腕を回して、上から何かを言っていた。





推理をする。


今は、午前6時半。

こんな朝早くに、大地がこの住所に来ているわけがない。

昨日は、大地が眠りに着いたのを確認している。

だとすると、その後か。


その後に、呼び出された。

呼び出された方法は、ポケットベルの11から20の定型文。

夜中に呼び出されたと思われる。


今日、朝に、花山が連絡をした後、返せたのは、返さないと相手に不安がられると思ったから、この喫茶店にある固定電話で、メッセージを伝えた。


花山が連絡したのは「宿題忘れた」であり、その返事として「手伝って」は、手伝ってあげると、占い喫茶の男性は思っただろう。

しかし、花山は手伝っては、助けてというつもりで、作成していた。

だから、もしかしたらと思い、占い喫茶へと向かったのである。


大地の両親は、この事を知っているのか?と思ったが、祖父母は、結構のんびり屋なのは知っている。

ほのかが、夜中、家を出ても気づかないのかもしれない。


呼び出した相手は、あのなんて読むか分からない人。

その人は、占い喫茶の主。




夜中に女子高校生を呼び出すなんて、しかも、俺の母親に何かあったら、手加減しないからな。

見ていると大地が嫌がっていた。

様子を見ていられなかった花山は、出て行った。


「大地さんから手を放せ。」

「花山君。」


大地から手を放して、花山に近づく男性。

男性の身なりは、ラフな格好で目立ったのは首から鎖をかけていた。

それを見て。


「くさりつかささん?それともさじさん?」


花山は、名前を言っていた。

面倒くさいので、鎖と認識した。

鎖は、顔を赤く染めた。


花山に殴りかかったが、探偵をやっていると、暴力行為を振るわれることはある。

だから、身を護る位の体術は備わっており、鎖は瞬間的に動きを止められた。

それに、母、しかも、高校生バージョンの母が見ている前で負けられなかった。


「すっご。」


大地は、軽やかに鎖を拘束した花山に、驚いていた。




瞬間。


「花山君。」


タイムマシンで来た山内がいた。

山内は、恰好が高校生になっていて、最初会ったよりも幼くなっていた。

でも、元は老けているんだろう?と思って、一瞬かわいいと思ったが訂正した。


「山内さん。」

「あら?こっちでは、解決したのね。」

「こっちでは?まさか!」

「そのまさかです。」


山内は、鎖の手に手錠をかけると、大地に近づき。


「もう、血を送らなくていいよ。」


すると、大地は泣いた。




大地が、血を鎖に送るきっかけは、占いだった。

雑誌で見かける占いを、自分でもしてみたかったからだ。


そんな時、占い喫茶があるのを知った大地は、興味本位で入って見た。

一人の男性が占いをしていて、大地と同じく血を使った占いをしていた。


占いの仕方を、男性は大地に教えると、メキメキと才能を開花させていった。

大地は嬉しくなって、ドンドンと男性に教えられたが、ある日、占いに使った血を送れといってきた。

今、手錠をかけられている鎖は、血の収集をしていた。




「花山君。元の時代に帰りますよ。」

「でも、大地さんが。」

「こちらがケアをします。」

「少しだけ待っていただけますか?」


花山は、大地に近づき、手を取る。


「俺は、いかなくてはいけない。今度会えるのは、もっと先になる。」


手を二回指で叩いた。

大地は、今、起きた出来事が本物かと思い、花山の手を同じく二回叩くと実感があった。


「またね。でいいの?」

「そうだな。またな。」


花山は、その場を離れ、アパートに向かった。

それを確認すると。


山内は鎖を担ぎながら、大地の頭に手を置いて。


「占いの事は、忘れてもらうわ。」


大地の記憶から占いを忘れさせた。

脳に無理がかかったのか、意識を失った。

その後、女子高生が意識を失っていると、救急車に連絡をした後、その場を去った。





花山はアパートに戻ると、荷物をまとめた。

山内が、鎖を組織に渡して、花山のアパートに来て、飛ぶ年を教える。

タイムマシンの年と月日をセットして、履いた。


「用意は出来ているみたいね。」

「ああ。」


すると、花山と山内は手を繋いで、飛んだ。




飛んだ先は未来で、アパートと大地が住んでいた家は無く、更地になっていた所に、大きな研究所が立っていた。

研究所の名前は「占い研究所」となっていた。


恰好は、元の次元よりも少しだけ年をとっていた。

しかし、体力や気力は変わりはない。

山内の真剣な顔を見ると、少し身体が熱くなった。

その理由は、自分は知っているから、困っていた。


その山内が、説明をする。


「この研究所を設立した相手は、血を収集して、能力がある人物を探し出している。能力がある人がいて、長い間監視していたけど、能力が目覚める様子が無かった。けど、大切な人が亡くなった瞬間、能力が目覚めて、力を発揮するのを確認した。」


山内は、身体を解しながら、花山に話す。

花山も同じく、身体を解していた。


「それからは、実験として、能力がある人の大切な人を奪っていくと、能力が目覚める人が多く、研究所が一番欲しい能力を持っていた花山ほのかは、自分の夫、炎が亡くなると同時に目覚めてしまい、この研究所にさらわれてしまった。」

「そして、今、お袋は、この研究所にいるんだな。」

「はい。過去で先程の鎖司さじ。本名、佐藤砂鉄さとうさてつが捕えられたので、未来は変わりますが、囚われている花山ほのかさんを、今、救い出さないと、未来の人口が減るという結果が残ってしまいます。そうなれば、いくら平和に過ごせていても、未来に結果があれば、時間はそれに従ってしまいます。」

「今が、未来の一番最初だな。」

「はい。」


何事にも最初がある。


最初が設定されてしまえば、前例があり、それに次も従ってしまう。

何処かで修正をしないといけないが、最初の設定があれば、やはりそちらに戻ってしまう可能性もある。

だから、その最初の設定を変えなくてはならない。


山内の説明が済むと、周りに人が現れた。

その数、三十人程。


「お任せしました。山内さん。」

「準備はいいですか?」

「いつでも。」


靴を見ると、タイムマシンを履いている。


「山内さんの仲間ですか?」

「はい。」


山内が合図を送ると、研究所へと入って行き、花山も一緒に入って行った。

花山の目的は、母を救い出す。


「無事でいてくれ。母さん。」





花山は、研究所の中を走り回る。

すると、ガラス張りになった部屋に、母を見つけた。

母の姿は、眠らされているらしく、ベッドに横にされていた。


中に入れた。


このガラス張りの部屋は、ベッドが一つと、ガラスのケースが一つあった。

ガラスのケースは、人、一人が入れる位だ。


母に近づくと、後ろから気配がした。

瞬間的に、振り返ると。


「招待した覚えはないよ。花山連君。」


その姿は、佐藤砂鉄だった。

組織で捕えられているはずだ。

だけど、この次元では、捕えられていなく、研究所の一人としていた。

だったら、母は、あの後、どんな生活を送ってきたのだろう。


「母を返して貰いに来た。」

「ほう、ほのかがどんな能力を持っているのか、分かっているのか?」

「どんな能力を持っていようが、母を誘拐した事実は変わりはない。返して貰う。」

「そうか。でも、訊いて置くと良い。」


佐藤は、拳を振り上げた。

花山は、それを腕で防御する。


「花山ほのかの血を触れると、その人が今まで負ってきた傷が全て開くんだ。」

「な。」

「そんな血を、世界にばらまいたらどうなるんだろうね?」


過去に怪我をしていない人は、一人もいない。


小さい頃は、よく怪我をする。

注意をしていても、乾燥していれば皮膚が水分を失い、切れて血が出る。

紙を整理している時には、切ってしまう。

蚊に刺されたりすると、搔いてしまい傷が出来る。


そんな小さな傷でも、しばらくすれば修復するが、母の血は、触るだけでそれらがよみがえり、痛みを与える。

訊けば、その痛みは、倍。

これが大きな手術をした人だったらと思うと、恐怖に身が凍る。


「そのガラスの容器は、入ると栄養が身体を満たす。栄養が身体に巡り、血を作る。血をガラス容器の中にある管から摂るんだ。もう、ほのかは、この容器から出なくていいんだよ。」

「そんな事させない。」


訊けば聞くほど、怖い話だ。

占い喫茶で闘った時よりも、強かった。

この時間軸では、佐藤は花山が占い喫茶で関与していないから、自信があり、強い。


だが、花山も今度は自分の知っている母親の前で、負けるわけにはいかない。


花山は、攻撃を避けながら、母を守っていた。

母は、その音で目を覚ますと、身体が動かなかった。

しかし、目は開いていて、動かせた。


目の前には、闘っている息子の姿があった。

その姿には、一度見たかもしれない気がしていた。


「これで終わりだ。」


花山は、床へと佐藤を押し付ける。

佐藤は、意識を失い、倒れた。

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