7「4/12」

学校にクッキーを作って来て、前田と山田にあげた。

その場で二人は食べると、美味しかったようだ。


「これ、激うま。」

「花山が作ったなんて嘘だろ?」

「いや、俺が作ったぞ。」


前田と山田は、とても情報をくれるから、そのお礼でもあったのだが、こんなに喜んでくれるなら、もっと作ってくるべきだった。


今日の朝。

登校では、大地と一緒にならなかったが、メッセージが入っていた。


「0141 93-」


読むと。


「おいしい クッキー」


とても、嬉しかったのである。

元の時代に戻ったら「クッキーを持っていこう」も、やりたいリストが埋まっていった。




今日から宿題が出た。

宿題の内容を見ると、多くはないし、簡単だ。

確定申告の量に比べたら、これ位は長くても、十五分で終わる。


今日も監視をしていたが、大地は女友達と話をしているのを確認した。

女友達に関しては、前田と山田が教えてくれたが、普通にいる女子だと認識した。

一応は、少しだけ調べてみたが、本当に普通にいる女子で危険な人物ではなかった。


大地の占いを知っているかと聞いたら、知っていて、噂では、血を採取しているのでは?と思われていた。

しかし、見た目がとてもかわいい為、噂は噂なだけで、真実ではない。




下校になり、大地を尾行していると、大地は郵便ポストに封筒を入れた。

離れたのを確認すると、投函した手紙の相手が気になった。

ポストの収集時間を見ると、今日の午後五時となっていた。

今は、午後四時。


中身を確認しようとしても、郵便ポストでは出来ないし、出来たとしても周りの目がある。

尾行もしたいが、出した相手を知りたい。

仕方なく、投函した相手を優先した。


でも、郵便局員が来て、回収しても、その中を見せてくださいとは言えない。

ノートを破って、簡単に封筒を作り、中に手紙が入っていると見せかけた。

それを郵便ポストに投函した。




一時間待ち。


郵便局員が来た。


「あの。」

「はい。」

「この中に、住所とか書かずに投函してしまって、取りたいのですが、いいですか?」

「え?」

「いやー、彼女にラブレターを出そうとしたのですが、気持ちが急いでしまって、住所を書き忘れてしまったのです。」

「ははは、そんな事を。いいですよ。」


郵便局員は、郵便ポストを開けて中身を確認した。

この時代は、やっとポケットベルが復旧し始めた時代で、メール機能なんてなかった。

だから、とても多く郵便物が入っている。


郵便局員は、それらを丁寧に一通ずつ花山に見せていた。

その時に、ほのかが出した封筒に書かれた住所と名前を、何回も頭に刻むかの様に唱え続けた。


「これですね。」


郵便局員は、白紙の封筒を花山に渡した。


「そうです。ありがとうございます。」

「いいえ。急がなくても、ちゃんと届けますから、落ち着いてね。」

「はい。」


一礼して、花山は去った。

少し離れると、その封筒に、先程見た手紙の住所と名前を書いた。


「この住所に行って見るか。」


早速、アパートに帰り、出掛ける用意をした。

本屋で、ついでに買ったこの辺りの地図を広げて、住所を確認する。

ここからそんなに遠くない。

電車で一本の所である。





住所に着くと、一つの建物があり、占い喫茶となっていた。

しかし、喫茶となってはいたが、こんな裏通りで儲かるのかという位、人の気配がない。

危険だと、今までの経験上、身体が発信しているが、調べないわけにはいかない。


まず、建物の周りを見るが防犯カメラは無かった。

この時代に防犯カメラは、復旧していないのだろう。


歩いて見るが、中に入れる場所が無かった。

唯一あるのは、占い喫茶とある看板の下にある扉だけだった。

窓は無かったが、換気扇は一つあった。

換気扇は回っていて、中が見えそうだ。


こんな時に持って来ていたのは、スマートフォンと自撮り棒。

スマートフォンの動画機能は、この時代に来ても機能した。

撮影をして見て、その場を離れた。


駅のトイレに入り、スマートフォンの動画を見ると、茶封筒に入っていた資料の一部があった。

これは証拠になる。


アパートに帰ると、動画をノートパソコンにコピーして、保存した。

それと、この名前。


「鎖司」


なんて読むんだろう。


「くさりつかさ?さじ?読み方が分からないが、特徴的な名前だな。」


書いた住所と名前も、スマートフォンのカメラ機能で撮り、ノートパソコンにも記録した。

夕ご飯を作り食べて、お風呂に入って、大地を監視した。

今日で、五日目となる。

監視も後、二日だ。


そう思っていると「666663643264」とメッセージが来て、安心した。

大地が眠りに着くと、花山も眠りに着いた。

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