第31話 ゴーレム撃退
地上では、キバガミとチョーコが魔物を撃退していた。
キバガミのライフルが火を吹き、モンスターに風穴を開けていく。
だが、数が多すぎる。
中にはカトウ・ケイゴに化けたダンタリオンのアナウンスに踊らされて、やけになって暴動を起こす民衆も。
ダンタリアンが街中の巨大モニターを占拠して、街を襲うように演説をしている。
意思の弱い人間たちは、ダンタリアンの言葉を真に受けて、操られていた。
「ヒャハハハ! 世界は終わりだ! 燃えつきろ!」
無人になった車を、若者たちが鉄パイプでガンガンと叩いている。
「やめないか! 魔物をおびき寄せることになるぞ!」
「どうせ世界は終わる! みんな魔物に食われちまえよ!」
キバガミがいくら説得をしても、若者はバカ笑いをしながら行為をやめない。
「あきらめるでち、キバガミ! 見捨てるしかないでち!」
「しかし!」
猿型の魔物が、若者を頭から喰らおうとしたときだった。
「え~い」
自暴自棄になった若者に向かって、ルゥが馬車で体当たりをする。
転倒した若者を肩でどかせ、キバガミは猿型の眉間に銃弾を叩き込む。
「ルゥ、無事か?」
「はい~。この子たちにも、気絶してもらいました~」
昏倒している若者たちを、足で蹴って馬車に押し込んでいく。
「では、わたしは他の人たちを助けてきますね~」
「助かるでち」
こちらは、問題ないだろう。
自分たちの役割は、
命にかえても、この場は守り抜く。
*
彫刻の大男が動き出し、鉄製の棍棒を振り回す。
「来たよダンヌさん! てや!」
ボクは、剣にダンヌさんの魔力を注ぎ込んで、切りかかった。
太い鉄の棍棒を、ダンヌさんの剣が切り裂く。
ついでに、彫刻までキレイにスパッと真っ二つに。
「うわ。すっご」
「
東洋の甲冑が、日本刀を振りかぶっていた。
「こちらは、任せて!」
「おかしいわ。ゴーレムなのに、恐ろしく強い。まるで、人の魂が入っているみたいな」
他のゴーレムたちも強く、緋依さんは劣勢に立たされた。
ボクが数を減らすけど、また大量のゴーレムが行く手を遮っている。
「ナオト、こいつら、正体は生身だお」
「え?」
「ダンタリオンは倒した相手を剥製にして、自分の意のままに操っているんだお」
自分に歯向かってきたかつての英雄たちを、死してなお使役するとは。気分の悪い相手だ。
「浄化してあげよう、ダンヌさん」
「わかったお。ヒヨリ、こいつらは物理じゃなくて、炎属性で倒すお」
「そうね。キリがないわ」
緋依さんが、ボクと背中合わせになった。ボクと呼吸を合わせて、武器に炎属性魔法を流し込む。
「迷える英霊たちよ、天へ帰り給え……。【セイクリッド・フレア】」
緋依さんが、刀を水平に振るった。
ボクも、同じように剣で空を切る。
剣から炎の柱が伸びて、英霊たちを浄化の炎で包み込む。
緋依さんが流し込んだ聖属性の力が炎と混ざって、苦しむ英霊たちを燃やしていった。
「かつてダンタリアンによって命を落とした、伝説の勇者たちよ。今こそ永遠の眠りを」
緋依さんの祈りによって、英霊たちが天へと昇っていくのがわかる。
「成仏してくれるかな?」
「するわよ。きっと」
「ゴーレムしか頼れる相手がいないなんて」
「相手を信用しないやつの行き着く先なんて、こんなもんよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます